5日間かけて九州を一周するJR九州のD&S列車「36ぷらす3」。今回は鹿児島中央発宮崎行きの「黒の路」に乗車。約3時間30分の旅を楽しんできました!
*2022年4月の情報を基に作成しています
▽36ぷらす3のまとめ記事はこちら!
黒い787系に乗って宮崎を目指す旅
今回乗車する「黒の路」は「鹿児島中央駅」を12時17分に発車。日豊本線を西へと進み、終点「宮崎駅」には15時46分の到着します。比較的ゆっくりした発車時間なので、東京から飛行機や大阪から新幹線でも間に合うのは嬉しいですね。
真っ黒に輝くボディ。何度見ても美しくカッコいい!
行き先表示には「宮崎」の文字。
今回乗車したのは5号車。「36ぷらす3」の「黒い787系」車内の様子などはこちらで紹介しています!
錦江湾と桜島
「鹿児島中央駅」を発車すると、さっそく車両にアテンダントさんが来て旅の始まりの挨拶。そして「黒の路」の7つのエピソードを紹介するリーフレットが配られました。
しばらくすると、列車は鹿児島湾沿いの海岸線を走行。車窓右手には、鹿児島のシンボル「桜島」の姿が。あいにくの曇り空ですが、山頂は雲がかかっておらず、くっきり。
やがて桜島を離れ、海の向こうには大隈半島。海に浮かぶ筏は何の養殖かな。
グランプリにも輝いた「かれい川弁当」
海を離れた頃、車内ではお弁当の提供がスタート。
「黒の路」は2022年3月から座席でいただく食事メニューが、JR九州駅弁グランプリで3年連続1位に輝いた「森の弁当やまだ屋」の「かれい川弁当ぷらす3」に変わりました。
「かれい川弁当」は、吉松線を走る「はやとの風」の運行開始に合わせて登場した駅弁。土日祝日の嘉例川駅または「はやとの風」の車内でのみ発売していました。すべて手作りのため数が少なく、予約必須の人気ぶりでした。
しかし、台風災害により肥薩線が運休。乗客が減少した「はやとの風」は2022年で廃止。「かれい川弁当」は幻となってしまうのか。そう危惧していた矢先の「36ぷらす3」の発表。「かれい川弁当」の華麗なる復活に嬉しい限り!
おぉー!美味しそう!「かれい川弁当」と比べて箱が二段となり、ボリュームがありそう。
ご飯は、霧島市の棚田で育った"ひのひかり"。椎茸と筍を炊き込んだご飯と、黒米と栗を炊き込んだご飯の2種類。冷めてもベタベタパサパサしておらず、みずみずしさがあります。嘉例川で育った原木椎茸は、肉厚で食べ応えがあり、えぐみがなくて食べやすいです。
"がね"は鹿児島の郷土料理で、さつま芋のかき揚げ。"がね"とは鹿児島弁で"カニ"の事で、揚げた姿ががねに似た事からそう呼ばれるそう。さつま芋が甘く、人参ニラと野菜もたっぷり。
ご飯にも入っていた原木椎茸に、鶏のすり身を詰め込んだ煮付け。
地元のじゃがいもに筍、椎茸、玉ねぎを入れた、その名も"かれい川コロッケ"。じゃがいもの甘みが広がり、筍の食感がいいですね。
鹿児島の郷土料理"つけあげ"は、魚のすり身に豆腐などを混ぜて揚げたもの。ふわっと優しい食感で、噛むと魚の風味が広がります。甘さ控えめで素朴な感じの玉子焼きが素敵です。
けせんの葉で包まれた、安納芋と紫芋のお団子。この葉がおもしろくて、シナモンの香りがします。けせんの木は、シナモンと同じニッケイ属の木なのだそう。昔は鹿児島県内のどこの家庭でも植えられていたのだとか。蒸しパンのようで黒砂糖風味の茶色いお菓子は"ふくれ菓子"で、鹿児島の郷土菓子。
「黒さつま鶏の炭火焼き」「桜島ひじきの煮物」「里芋のごま団子」。これらは「36ぷらす3」に合わせて追加されたおかず。「かれい川弁当」に3つの食材をぷらすした「かれい川弁当ぷらす3」なのです。
緑色の団子は、霧島茶を混ぜこんだ里芋、中には梅肉。さつま地鶏の炭火焼き。コリコリ食感に香ばしい炭火の香りが口いっぱいに広がり、酒が進みます。桜島で獲れた貴重なひじきの煮物。普段食べるひじきと違って、歯応えが強くて磯の香りが濃厚。
イチョウの大木の下ではじまるマルシェ
食事を食べ終えた頃「36ぷらす3」は「大隅大川原駅」に到着。
ここでは約50分停車。
「大隅大川原駅」では「おもてなし停車」と言って、地元の皆さんからのおもてなしを受けることができるのです。さっそくホームでは横断幕を持ってお出迎え!
駅のまわりは静かで自然豊か。
反対の特急列車が通過して行きました。特急が止まらない小さな駅でゆっくり過ごすことができるのも「36ぷらす3」の魅力のひとつですね。
難読市名「曽於市」。"そお"と読みます。
杉のいい香りがする駅舎は、2010年に地元産の杉を使って建てられたのだそう。
駅前にそびえるイチョウの大木の下では「36ぷらす3」の到着に合わせてキッチンカーなどが集まり、小さなマルシェが開催。
手作りの焼菓子やフルーツサンド。
こちらは、曽於市のお茶農家さんによるお茶のキッチンカー。オーダーを受けてから一杯ずつ丁寧に淹れてくれます。
曽於市にあるカフェのキッチンカー。元中学校の職員室を改装したカフェなのだそう。
目に留まったのは「ジビエバーガー」の文字。美味しそう。
という事で「たか森カフェ」の「ジビエバーガー」を購入。車内でいただきます!
鹿肉と猪肉のパティ。ジビエの風味も感じられながら、スパイスがいい感じに臭みを消して、とっても食べやすい!緑色したタルタルは何が入っているのかな。ライ麦バンズにオーガニック野菜も使った、自然溢れるハンバーガーでした。
お茶も購入してきました。冠せ茶、ほうじ茶といったラインナップの中、気になったのが、奄美大島のみかんと茎茶のブレンド。味のベースは茎茶ですが、奥の方からほんのりみかんの爽やかな柑橘の香りがやってきます。飲んだ事ない味わい、美味しかった!
デザートも買っちゃった。地元で採れたかぼちゃを使ったチーズケーキ。かぼちゃの味がとっても濃厚。甘すぎず、かぼちゃの自然な甘さがいい感じ!
熟成黒酢を飲み比べ
「大隅大川原駅」を発車すると、4号車のマルチカーでは車内イベントがスタート。「36ぷらす3」では各ルート毎に、車内で様々な体験メニューが用意されています。黒の路で行われるのは、鹿児島県霧島市にある「福山黒酢」の黒酢の紹介。
3年熟成と10年熟成の黒酢を飲み比べ。3年熟成は香り酸味ともに強く感じましたが、10年熟成はとってもまろやか。色も、10年熟成は茶色っぽくて全然違います。
「福山黒酢」の黒酢は3号車のビュッフェでも発売されているので、おみやげに購入するのもいいかも!
列車は「青井岳駅」に到着。
おもてなしはありませんが、約10分停車します。
先ほどの「大隅大川原駅」よりも奥深い山の中。
シンプルで味気ない駅舎だけど、バックに36ぷらす3が停まると雰囲気も一転。
黒の路を締めくくるフィナーレ
「36ぷらす3 黒の路」の旅も残りわずか。マルチカーでは今日の旅のおさらい。「大地の黒」「黒い温泉」「黒は旨い」といった、黒にまつわる7つのエピソードが紹介されました。
15時46分。「36ぷらす3 黒の路」は終点「宮崎駅」に到着。「36ぷらす3」では一番短い、約3時間半の旅。他の「36ぷらす3」に比べると少しバタバタ感じるかも。その代わり、おもてなし停車や黒酢の紹介などイベントがギュッと詰まっているので、中弛みして飽きることなく楽しめた旅でした。皆さんもぜひ「36ぷらす3」に乗車してみては!
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