長野県上田市を走る「上田電鉄」城下駅に現れた、光り輝くシルバーの車体。これは、なんと日本で初めて製造されたステンレス車体の電車、つまり歴史的に極めて貴重な車両なのです!
東急出身のステンレス車両が長野で対面!
そんな、貴重な5200系を求めてやってきたのは、上田電鉄の「城下駅」。
現在上田電鉄は2019年の台風19号による災害で、上田〜城下間はバスによる代行輸送が行われています。
城下駅にある2線のうち、折返し運転に使用していない1線を活用して、車庫の奥で眠っていた5200系が展示されています。
日本で初めて車体の外板にステンレスを用いた「5200系」が製造されたのは1958(昭和33)年。1986(昭和61)年まで東京急行電鉄で活躍。その後上田交通(今の上田電鉄)に譲渡、1993(平成5)年に引退しました。
隣に並ぶのは、同じく東急で活躍していた「1000系」。まさに東急の頃を彷彿とさせる光景ですが、実際には遠く離れた長野県が初めての並びなのです。なんだか感慨深いですね。
前照灯が点灯し、今にも走り出しそうな5200系。しかし残念ながら1両だけなので、自ら走ることはできません。
その見た目から、鉄道ファンの間では「湯たんぽ」の愛称で呼ばれているのだそう。
貴重なステンレス車両のそばへ
城下駅の入場券またはグッズを購入すれば、運転台の見学ができるとの事で、私も入場券を買いました。昔ながらの「硬券」ですね!
これは「ダンチングマシン」と言って、さっきの硬券に日付を刻印する機械なんだって。これも実際に体験させてくれます!すごい!
5200系の裏側を回って、ホームへ。
上田駅方向の線路を見ると、列車が走っていないからか錆が見られます。
『昭和33年に東急車輌で製造された』という銘板が見えます。
昔はステンレス車両には付き物だったコルゲート。この無骨な姿がカッコいいです!
運転席へお邪魔します。
結構狭くて窮屈。マスコンはガチャガチャと動かす事もできました。
車庫に眠っていた歴史的な車両、さらに運転台まで見学できるなんて、とっても貴重な事ですよね!
このイベントは9月27日まで開催、期間中は10:00~21:00までライトを点灯した状態で展示されています。さらに城下駅の窓口で記念グッズを購入すると、10:00~15:00までは運転台を見学することも可能。
駅前には駐車場がないので、周辺住民の皆さんのご迷惑にならないように電車や代行バスを利用して行きましょう。
城下駅での5200系公開を記念した記念乗車証も発売されていましたが、こちらはすでに完売してしまったそう。
現在は第2弾が発売されているそうなので、ぜひ購入してみては!
別所線全線開通は2021年春
2019年の台風被害で崩落した、千曲川橋梁。城下駅には千曲川橋梁を模した模型も展示され、復旧の日を待ち望んでいる事がわかります。
所変わって、新幹線・しなの鉄道と接続する、上田電鉄別所線「上田駅」。
電車はやってきませんが、乗車券や定期券などを発売するため窓口は営業しています。
10:00~16:00まではホームが開放されているようなので、お邪魔してみました。
掲示板は応援のメッセージでいっぱい。
災害の様子や復旧に向けた計画などが掲示されています。
顔はめパネルはあるけど…
本物の電車がみたい!
現示が消えた出発信号機。
ホームの先端の警戒標識は「台風警戒」のまま。
城下駅から徒歩で上田駅へ戻る際、千曲川橋梁のそばを歩きました。
ごっそりなくなってしまった、別所温泉方の鉄橋。
先日、別所線の全線開通の予定日が『2021年3月28日』と発表されました。
再び電車が赤い鉄橋を走る姿が見られるまで、あと少し。がんばれ上田電鉄!