熱々のしし鍋を車内でいただいて温泉の日帰り入浴まで楽しめる観光列車。岐阜県を走る「樽見鉄道」の「しし鍋列車」に乗ってきました!
*2021年12月の情報を基に作成しています
本巣まで普通列車で移動
岐阜県を走る「樽見鉄道」の「しし鍋列車」は、毎年冬シーズンに運行される観光列車。列車の中でいただけるしし鍋料理と、うすずみ温泉の日帰り入浴がセットになっています。
「樽見鉄道」の始発駅は、東海道線と接続する「大垣駅」。ここから本巣市根尾の「樽見駅」まで全長34.5kmの路線。地域の足としてはもちろん、春には"淡墨桜"へのアクセスとしても賑わいます。
まずは1両編成の普通列車に乗車。「しし鍋列車」は途中の本巣で、この列車の前に連結されます。
紅葉真っ盛りの山へ向かって、列車は走ります。
「本巣駅」に到着すると一旦ホームに下車。向こうから「しし鍋列車」がやってきました!
テキパキした作業で、先ほど乗ってきた普通列車に連結。ここからは普通列車としし鍋列車の2両編成で、樽見へと走ります。
熱々のしし鍋と山の幸の料理の数々
では車内へ。ロングシートの前にテーブルがずらり。すでにお膳と鍋がスタンバイ。
車内は満席、大人気です!
歓迎の垂れ幕。
運賃表に「しし鍋列車」ってスクロールされているのがおもしろい!
おぉー!美味しそう!「日当駅」の近くにある「山びこ」のお料理です。ここから樽見までは34分。手早く写真を撮っていただきます!
熱々のしし鍋。走る列車の中は火気厳禁なので、本巣の車庫で直前まで火にかけてあるのだそう。だから本巣で「しし鍋列車」に乗り換えるんですね!熱々の鍋のために、樽見鉄道さんの涙ぐましい努力があるのです。
薄切りの猪肉がたっぷり入った味噌仕立てのしし鍋。臭みは全くなく、濃いめの味噌に猪肉の味がマッチ。猪肉以外にも大根、里芋、ごぼう、白菜など具材盛りだくさん。田舎風の素朴な味わいの熱々鍋に、心も体もほっこり。
2段のお弁当箱の中には山菜の天ぷらを中心に素朴なお料理の数々。
薬草の天ぷら。風味豊かな"あしたば"と"よもぎ"。茄子とさつまいもも甘くて美味。そしてめずらしい"どじょう"の天ぷらは、香ばしくてカリカリ。
"鮎の甘露煮"は頭からがぶり。甘くて濃厚なお味が美味!魚の佃煮は"もろこ"という淡水魚。
柚子味噌がのった里芋は、ねっとり濃厚。胡桃と鰹節の佃煮はご飯がススムやつ。
お茶の香りがいっぱいに広がる"茶そば"。そして本巣の名産"柿"。なんと本巣は"富有柿"発祥の地だそう。
しし鍋だけでなく、山の幸がたっぷり詰まったお弁当まで付いて、本当にお腹いっぱいになりました!
絶景広がる車窓
お料理だけでなく車窓にも見どころがたくさん。車内では樽見鉄道の方が観光案内をしてくれます。
根尾川に沿って走る樽見鉄道。初めは緩やかだった川の流れ。
終点樽見までの間に10回根尾川を渡ります。
上流に行くにつれて、だんだんと急流に。
川幅は狭くなり、美しい渓谷が車窓に現れます。
山肌が雪化粧した能郷白山が見えると、列車はまもなく終点樽見に到着します。
「しし鍋列車」は終点「樽見駅」に到着。
樽見線は、金沢に至る路線として建設されましたが、線路が通じたのはここまで。国鉄時代は赤字路線に認定されて一時は廃止の危機に。1984年に第三セクターの樽見鉄道に転換。1989年には神海から樽見までが延伸開業しました。
「樽見駅」は、日本三大桜で有名な淡墨桜の最寄駅。駅前の桜の木は淡墨桜の孫の木だそう。春にはきれいな桜が咲き誇ることでしょう。
うすずみ温泉でひとっ風呂
さて「しし鍋列車」の乗客は、ここからバスで移動。
向かった先は「うすずみ温泉」。「しし鍋列車」は「うすずみ温泉」の入浴券までセットになっているのです。
「うすずみ温泉」はナトリウム塩化物温泉で、神経痛・筋肉痛・消化器症などに効果があります。
海水を約3倍薄めたものと同じ塩分。山奥なのになぜ海水?と思いましたが、源は伊勢湾の太古の海水ではないかと考えられているそう。素晴らしいお湯でした!
再び「樽見駅」に戻ってきました。
帰りの車窓は、夕日が山肌に当たり美しい景色でした。
美味しいしし鍋を食べてゆっくり温泉に浸かる、なんて素晴らしい旅なのでしょう!この冬はぜひ「樽見鉄道」の「しし鍋列車」に出かけてみては!
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