2020年の熊本豪雨災害で運休が続く肥薩線に代わり、鹿児島本線の熊本〜鳥栖間を走る蒸気機関車「SL人吉」に乗ってきました!
*2021年8月の情報を基に作成しています
- 肥薩線の復興を願って走るSL人吉
- 明治生まれのハチロク
- 先頭はSL、最後部はDL
- 夏空続く鹿児島本線を北上
- 車内限定ボリュームたっぷり86弁当
- 復路はDE10が先頭
- 熊本行き限定、中央軒の鳥栖SL弁当
- 乗客も少なくゆったりとした旅路
- 関連リンク
肥薩線の復興を願って走るSL人吉
かつては肥薩線の熊本〜人吉間を走っていた「SL人吉」。
球磨川の美しい景観が魅力のひとつでしたが、その球磨川が2020年の熊本豪雨で氾濫。肥薩線は壊滅的な被害を受け今なお運転再開の見込みが立ちません。
現在「SL人吉」は肥薩線の応援企画として、週末を中心に熊本〜鳥栖間を走ります。
明治生まれのハチロク
旅のスタートは「熊本駅」から。
もくもくと煙をあげながら「SL人吉」が入線してきました!
牽引するのは「8620形蒸気機関車 58654号機」。通称「ハチロク」。「58654号機」は1922(大正11)年生まれ。営業列車として走るSLとしては、なんと日本で最も古いのだそう。
1975(昭和50)年に廃車され肥薩線矢岳駅前で静態保存されていましたが、1988(昭和63)年に復活し豊肥本線の「SLあそBOY」として運転を開始。その後大きな故障で再び廃車の危機があったものの見事に修復されて、御年99歳となった今でも元気に活躍しています。
小顔で端正な顔立ち。凛とした姿。私的に、数ある蒸気機関車の中で1番の"べっぴんさん"だと思います!
機関室を覗くと、投炭口から赤々と燃ゆる炎が見えました!
先頭はSL、最後部はDL
「SL人吉」の最後部に連結されたディーゼル機関車「DE10 1206号機」。
DE10はローカル線の貨客列車や入換用途を目的に1966(昭和41)年から1978(昭和53)年まで製造されたディーゼル機関車。JR九州には8両が在籍するのみ。こちらも貴重な国鉄形機関車です。
車内は4人掛け(一部2人掛け)のボックスシート。
座席の仕切りの中には蒸気機関車のミニチュアが飾られていて、おしゃれ。
先頭の展望室へ行くと「58654号機」のお尻がどーん!
後部の展望室からは「DE10 1206号機」の姿が!
後ろへと流れゆく車窓が見れないのは残念ですが、ディーゼル機関車を見ながら過ごす展望室の光景も、また面白くていいですね。
夏空続く鹿児島本線を北上
「熊本駅」を発車した「SL人吉」は鹿児島本線を北へ。今日はいい天気でよかった!
SLの横からチラリと望む車窓。
ハチロクのお尻を見ながら。#SL人吉 pic.twitter.com/ywkdSMxEge
— マサテツ (@masatetsudo) 2021年9月4日
遠くに見える山は、雲仙普賢岳かな?
菊池川を渡るとまもなく最初の停車駅「玉名駅」です。
「玉名駅」では約9分停車。その間に普通列車に道を譲ります。
機関室の中をチラリ。
磨かれて光り輝くレバーやバルブ。
機関士の腕章がカッコいい。
発車までまだ時間があったので、反対側のホームへ。
「DE10 1206号機」の活躍は復路。今はおとなしく時間を過ごしています。
車内限定ボリュームたっぷり86弁当
「玉名駅」を発車した「SL人吉」。
車内改札が始まりました。チケットと、車内で配られている記念乗車証と一緒に。車掌さんにお願いすると「SL人吉」の改札印を押してくれました!
そろそろお腹が空いてきたので、編成の中ほどにあるビュッフェコーナーへ。
購入したのは「SL人吉」の車内でしか購入できないお弁当。その名も「86(ハチロク)弁当」です!
熊本にある老舗洋食店「五車堂本店」が考案したお弁当。では、オープン!
おぉー!おかずがたくさん!美味しそう!
メインディッシュは、真ん中にどーんと鎮座するハンバーグ。お肉には熊本県産のブランド牛「和王」を使用しているのだそう。冷めてるとは思えないほど柔らかく肉の旨みが濃厚。さすが洋食店なだけあって、デミグラスソースも深みがあって絶品。
ハンバーグの裏にはから揚げとナポリタンも隠れています。大人だけでなく、子どもも大喜びなおかずたち。
分厚くカットされた焼き鮭。エビチリや煮物。
おにぎりは、海苔巻き・ゆかり・オムライスの3種類。もうお腹いっぱい!大満足!「SL人吉」に乗ったらぜひゲットしたいお弁当です。
デザートには、同じくビュッフェで発売している「武家蔵焼酎アイス」。人吉の焼酎を使ったアイスクリーム。本当に焼酎の香りが広がってびっくり!
お弁当に舌鼓している間も、列車はゆったりと歩みを進めます。
「大牟田駅」に到着。西鉄電車と並びました。
九州新幹線が近づいてきました。ここからしばらくは新幹線と並走します。
筑後川を渡ると、終着の鳥栖が近づいてきました。
熊本から2時間34分で終着「鳥栖駅」に到着。
「58654号機」の前は記念撮影の人だかり。
「58654号機」が牽引するのはここまで。
復路はDE10が先頭
「鳥栖駅」の開業は1889(明治)年。九州鉄道開業時から現存する、九州最古の駅のひとつです。駅舎は九州鉄道時代の1903(明治36)年に建てられたもの。かつては蒸気機関車の基地として賑わった「鳥栖駅」に再び蒸気機関車が戻ってきたのです。
「鳥栖駅」には転車台がないので、復路の「SL人吉」は「DE10 1206号機」が先頭に。
こちらにも立派なヘッドマークが掲げられています。
窓からは運転席の中がチラリ。
大きく唸りをあげるエンジン。
「58654号機」には列車の最後部を示す、赤色の標識灯が灯り、まもなく発車時間です。
先頭の展望室へ。機関車に見つめられているみたい!
展望室の窓は大きくて、車窓もきれいに見えます。
デーテンとハチロク、両方の汽笛が聞けるSL人吉。最高かよ pic.twitter.com/xYzThtTXoO
— マサテツ (@masatetsudo) 2021年9月4日
熊本行き限定、中央軒の鳥栖SL弁当
ビュッフェ車両で、今度は「鳥栖SL弁当」を購入。こちらは、鳥栖にある駅弁屋さん「中央軒」が制作した「SL人吉」熊本行きの車内限定のお弁当。「冷茶セット」ってのがあったのでそれにしました。
外は暑かったので、冷えたお茶が体に染みます。
お弁当の容器は、なんと竹皮で編まれたもの。これだけ記念に持って帰っても良さそう!では、オープン!
おぉー!なかなかのボリューム!
巻き寿司と蓮根は(たぶん)蒸気機関車の動輪をイメージ。かしわめしの炊き込みご飯に鶏天を巻いた、濃厚なお味の巻き寿司。これだけでもすごいボリューム。
鳥栖駅の駅弁の定番でもある焼売。肉々しい味が濃厚。
串カツ、鯖の塩焼き、きんぴらごぼうなどなど。一見コンパクトですが、おかずがぎゅうぎゅうに詰まっていてお腹いっぱいになれます。ランチにしては時間が微妙なので、持ち帰って夕食にするといいかも!
あと一品車内で購入したのは「86弁当」を制作した「五車堂本店」のカツサンドとメンチカツサンドのセット。
お夜食にホテルで頂いたのですが、これがかなり美味しかった!冷えてるのに柔らかいカツ。肉々しさ満点のメンチカツ。濃厚なソースも相まって絶品でした!
乗客も少なくゆったりとした旅路
列車は鹿児島本線を順調に南下。
「大牟田駅」では7分停車。普通列車に先を譲ります。
ホームの反対側へ。ディーゼル機関車が牽引する客車列車も、かなり貴重な存在です。
復路の「SL人吉」の乗客少なめ。「58654号機」の周りも落ち着いています。
のどかな田園風景。
終着を前に、再び先頭の展望室へ。DE10のサウンドにしばし耳を傾けます。
熊本の町が広がりやがて高架に上がると、まもなく終着です。
「DE10 1206号機」が牽引してきた「SL人吉」は、終着「熊本駅」に到着。往路より乗客が少なくゆったりと客車の旅が楽しめました。
肥薩線の復興を願って走る「SL人吉」。再び球磨川の絶景の中を走る「SL人吉」にも乗りたいと、切に願う旅となりました。
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