宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の舞台となった釜石線を走るSL。JR東日本の「SL銀河」に乗ってきました!
*2021年10月の情報を基に作成しています
- 花巻〜釜石間を2日間かけて1往復
- 2014年に復活した「C58 239号機」
- 車両全体が宮沢賢治ギャラリー
- 釜石線最大の難所、仙人峠
- 車内限定のSL銀河帆立おこわ弁当
- 民話のふるさと遠野を散策
- 昭和の哀愁を感じながらSLの旅
- 関連リンク
花巻〜釜石間を2日間かけて1往復
「SL銀河」は主に週末に運転され、土曜日は下り(花巻→釜石)日曜日は上り(釜石→花巻)と、2日間かけて1往復します。今回は日曜日の上り釜石発花巻行き「SL銀河」に乗車します
釜石は1980年代初め全国に名を轟かせた「新日鉄釜石ラグビー部」があるまち。
さらに釜石の鵜住居地区にはラグビースタジアムもあり、釜石は「ラグビーのまち」として知られています。
ラグビーボールのモニュメントのそばには「SL銀河」の顔ハメパネルもありました。記念撮影にいかが?
2014年に復活した「C58 239号機」
花巻行き「SL銀河」は9時57分発。
発車までまだ時間があったので、駅の隣にある「シープラザ釜石」へ。実は建物の裏手が「SL銀河」の撮影スポットになっているのです!
「SL銀河」を牽引する「C58 239号機」。カッコいい!
改札が始まったのでホームへ。目の前で見る「C58 239号機」。迫力がすごい!
銀河鉄道をモチーフにしたヘッドマークが光り輝きます。
「C58 239号機」は1940年に兵庫の川崎車輌で製造。後年は宮古機関区に配属されて釜石線などで活躍したのち1972年に廃車。盛岡市にある県営運動公園で保存されていました。
その後東日本大震災からの復興支援と地域活性化を目的に、2012年から復元工事を開始。2014年の「みちのくSLギャラクシー号」で復活を果たしました。
外観で特徴的なのが、ヘッドライトが主灯・副灯の2灯であること。雪深い東北エリアならではの装備。
2020年8月から全般検査のために大宮の工場入りしていた「C58 239号機」。
2021年8月に復帰したばかりなのでピカピカです!
機関室の中をチラリ。メーターや配管がずらりと並んでいます。蒸気機関車を運転するって本当に大変なんだろうなー。
蒸気機関車のご飯、石炭がこんもり。
車両全体が宮沢賢治ギャラリー
牽引される客車は実は気動車で、自力で走行する事ができます。釜石線は仙人峠と呼ばれる難所があり、SLの力不足を補うためにディーゼルエンジンを動かしてサポートするのだそう。
ブルーのボディに星座がデザインされた客車は、銀河のネーミングにぴったり。
こちらはいて座ですね!では、車内へ。
おぉー!モダン!
宮沢賢治が生きた大正〜昭和初期をイメージしているのだそう。赤色のモケットがレトロ感を醸し出します。
窓の上にはステンドグラス。おしゃれ!
「SL銀河」は車両全体が宮沢賢治のギャラリーになっています。デッキでは宮沢賢治の生い立ちが紹介されていました。
宮沢賢治にまつわる本も自由に読書ができます。
他にも宮沢賢治や銀河鉄道の夜にちなんだ展示がたくさん。
1号車にはなんとプラネタリウムがあります!列車の中にプラネタリウムがあるなんて、驚き!コロナの影響で休止中だったのが残念。
4号車には売店コーナー。
「SL銀河」のグッズのほか、お菓子やお弁当などを発売。
釜石線最大の難所、仙人峠
「SL銀河」は銀河鉄道の旅へ出発!釜石市内を流れる甲子川を渡り、列車は西へと走ります。
さっそく山深くなってきました。この先は釜石線最大の難所、仙人峠です。
「陸中大橋駅」の手前、頭上に赤い橋が見えてきました。この先線路はΩループで大きく回りながら標高を上げ、あの頭上高い橋を渡るのです。すごい!
列車は「陸中大橋駅」に到着。
「陸中大橋駅」には鉱山が現役だった頃の、鉱石を貨車に積み込むためのホッパーの遺構が今でも残されています。
しばらく停車するのでSLの前には人だかり。
この先駅に停車する度に、蒸気機関車に異常がないか点検が行われていました。
多くの人の手でSLの運行が支えられているのですね。
機関室では懸命に石炭を投下。この先の峠に備えます。
反対列車の「快速はまゆり」が通過。「SL銀河」はまもなく発車。
釜石と花巻を結ぶ鉄道のうち最後に開通したのが、仙人峠を越える区間。1936年に着工、開業したのが1950年なので実に14年もかかったのです。高低差は実に300m。陸中大橋手前で見えた赤い鉄橋を渡るところ、さっき走ってきた線路ははるか眼下。
気動車の力も借りながら無事仙人峠を越えた「SL銀河」は「上有住駅」に到着。
釜石線の駅には、銀河鉄道にちなんでエスペラント語の副駅名が名付けられています。「上有住駅」の副駅名は、日本一洞窟に近い駅にちなんで「カヴェルノ(洞窟)」。
温度計や手で触りながら、異常な発熱がないか入念な点検を受ける「C58 239号機」。
仙人峠を越えた「SL銀河」は、今度はのどかな田園風景の中を走ります。
黄金色に染まった稲。手前の田んぼは稲刈りが終わったみたい。秋ですね。
車内限定のSL銀河帆立おこわ弁当
そろそろランチの時間。「釜石駅」のホームで宣伝していた、車内限定のお弁当を頂きます!
その名も「SL銀河帆立おこわ弁当」。釜石駅で積み込まれて4号車の売店で発売されるのですが、数量限定なので食べたい方は早めに購入を!
「カシオペア座」とか「ブラックホール」とか、銀河にちなんだおかずの名前がユニーク。では、オープン!
おぉー!美味しそう!
SLの焼印が押された玉子焼きがかわいい!小ぶりな帆立がたっぷり入った、ひじきの混ぜおこわ。モチモチ!
おかずひは、イカの松笠煮やがんもどき。挽肉を昆布で巻いた「渦巻銀河」はナイスネーミング!真っ黒なブラックホールの正体は、黒胡麻のお餅。
楽しいネーミングだけでなく、味もしっかり美味しかった「SL銀河帆立おこわ弁当」。何より列車の中で食べるお弁当は、不思議と美味しさが倍増しますね!
民話のふるさと遠野を散策
「ようこそ遠野へ」の横断幕がお出迎え。
「SL銀河」は「遠野駅」に到着。ここでの停車時間は、なんと2時間7分。
客車と一旦切り離した「C58 239号機」は、ホームから外れた所へ移動。
水の補給や整備点検が行われて、旅の後半戦へ備えます。
さて発車まで2時間以上時間があるので、改札を出て遠野の町へ散策に出かけましょう。
私が訪れたのは、駅から徒歩10分のところにある「とおの物語の館」。遠野で語り継がれてきた昔話の世界を見たり聞いたりして、体感することができます。
また、遠野の物語を書き集めた「遠野物語」の著者・柳田國男が宿泊した旅館や隠居所が移築され、その生涯や功績が紹介されています。
館内では遠野物語の語り部さんから昔話を聞くこともできましたが、方言強くてよくわからなかった(笑)
館内をじっくり見学していたら、あっという間に「SL銀河」の発車時間が迫っていました。おみやげやらお菓子を買い込んで再び車内へ。
それでは「SL銀河」の旅、後半戦のスタートです。
昭和の哀愁を感じながらSLの旅
「遠野駅」から幾分乗客が増えた印象。盛岡方面から来て遠野で折り返す人が多いみたい。これなら東京からも日帰りで乗車することができます。
「シュッポ、シュッポ」昭和の哀愁漂う音が響きます。
通称めがね橋と呼ばれる、宮守川橋梁を通過。ここは「SL銀河」を撮影する人気スポット。ポスターやパンフレットの表紙の写真にも登場します。
列車は「宮守駅」に到着。
「土沢駅」では3分の停車時間。
土沢は釜石線の前身、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のモデルとなった岩手軽便鉄道の始発駅でした。
釜石から実に5時間22分の旅もいよいよ終盤。
新幹線の高架をくぐると「新花巻駅」。東北新幹線へと乗り換える乗客が降りてゆき、幾分車内は静かになりました。
北上川を渡れば花巻市街地へ。
15時19分。「SL銀河」は終着「花巻駅」に到着。
釜石から5時間以上の長旅でしたが、遠野でたっぷり散策時間があったり車内のギャラリーを見学したりと、そんなに長く感じませんでした。沿線から手を振ってくれる人がいっぱいで、それも楽しかった!
この後「SL銀河」は盛岡へと回送されて行きます。銀河鉄道の夜の世界観が楽しめる「SL銀河」に、皆さんもぜひ乗車してみては!
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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