埼玉県の「熊谷駅」から長瀞・秩父を通り「三峰口駅」まで走る、秩父鉄道の「SLパレオエクスプレス」。都心から一番近い蒸気機関車に乗ってのんびり旅を楽しんできました!
- デキの牽引で熊谷入線
- 全検から復帰したばかり!ピカピカのC58 363号機
- 秩父路をゆくパレオエクスプレス
- SLを間近で見学できる転車台公園
- 秩父鉄道沿線の食材を使ったイタリアンなSL弁当
- パレオエクスプレスをジャーナル撮り
- 関連リンク
デキの牽引で熊谷入線
「SLパレオエクスプレス」の始発駅「熊谷駅」までは東京から新幹線で約40分、在来線で約1時間。その近さから『都心から一番近い蒸気機関車』として知られています。
レトロな雰囲気の改札口で、まずは大人1600円のフリーきっぷを購入。熊谷〜三峰口の片道が960円なので、往復するならフリーきっぷの方がお得です。
改札内に入ったら今度は特設窓口でSL指定席券を購入。乗車するには事前に専用サイトで予約し、特設窓口でQRコードを提示し料金を支払います。
鉄道むすめの「桜沢みなの」がお出迎え。
ホームに降りると、おや?怪しい格好をした人が(笑)乗客にティッシュを配っていました。
デキ(電気機関車)に引かれた「SLパレオエクスプレス」が入線!
車両基地から熊谷までの回送はデキが牽引し、熊谷で解放するのです。
「SLパレオエクスプレス」が回送されてきたら、混み合う蒸気機関車は後回しにして、まずはデキと客車の解放を見学。その後、発車直前の空いた時を狙って蒸気機関車を見学するのがおすすめです。
ギャラリーは私一人。回送で到着したらすぐに解放作業が開始。
1963(昭和38)年に製造された「デキ200形201号」。
前後にデッキがついた箱型の電気機関車。
真っ黒な車体に黄色の警戒色。めちゃくちゃカッコよくないですか!?蒸気機関車に目を奪われるところですが、ここはぜひデキにも注目を!
客車を見学しながら前の方へ歩いて行きます。車両は12系の4両編成。2020年は蒸気機関車の検査のため運休していましたが、おそらくその間に修繕されたのでしょうか、塗装がつやつやピカピカ!
以前は全車自由席でしたが、2021年の運行から全車指定席に変わりました。では、車内へ。
座席はボックスシート。"こどもの日"が近いからか、天井にはこいのぼりが泳いでますね!
ワインレッドカラーのシートが、レトロな雰囲気を醸し出しています。
全検から復帰したばかり!ピカピカのC58 363号機
いよいよ「C58 363」とご対面!カッコいい!
「C58 363号機」は1944(昭和19)年に製造され、主に東北地方で活躍。1972(昭和47)年に廃車となり、埼玉県の吹上小学校で保存されました。廃車から15年後、1988(昭和63)年に開催された「'88さいたま博覧会」の目玉として復活する事が決定。1988(昭和63)年3月から熊谷〜三峰口間で「SLパレオエクスプレス」として運行を開始しました。
2020(令和2)年は全般検査を実施するため「SLパレオエクスプレス」は運行を休止。その後無事検査は終了し、2021(令和3)年3月から運行を再開。全般検査を終えた証である『2021-1 大宮総合車両セ』の文字が頼もしく思えます。
ピカピカの「C58 363」に乗って「SLパレオエクスプレス」の旅へ、出発です!
秩父路をゆくパレオエクスプレス
多くの人に見送られながら発車する「SLパレオエクスプレス」。
スピーカーから聞こえてきたのは、秩父出身の落語家、林家たい平さんによる車内放送。軽妙な語り口で沿線の情報を案内してくれます。
しばらくして見えてきたのは「広瀬川原車両基地」。「C58 363」もこの基地で整備されています。
カラフルなカラーリングの電気機関車。秩父鉄道では現在でも貨物輸送が盛ん。武甲山で取れる石灰石を運ぶなど、セメント産業を支えている秩父鉄道。
途中の駅でも石灰石を満載したホッパ車と行き違いました。
その頃車内では車内販売が開始。飲み物やおやつをのせたカートの他、ジェラートを載せたカート、秩鉄グッズを載せたカートなど、結構頻繁に車内を行き来していました。
列車は「寄居駅」に到着。約9分の停車時間。
SLの前は記念撮影する人たちで大人気!
線路の向こうには東武鉄道、しかも懐かしのセイジクリーム!
寄居は秩父鉄道の他に、東武東上線・JR八高線が乗り入れる交通の要所。「SLパレオエクスプレス」も乗客の入れ替わりがあります。
まもなく発車です。
秩父鉄道は荒川に沿って走ります。川の中からカヌーに乗った人がこちらに手を振ってる!
「長瀞駅」に到着。ここでは11分停車します。
それにしてもすごい人!乗客だけでなく見学の人もいるみたい。
石炭を投下する姿が見えました。機関士・機関助士さんは熱い中大変な重労働。頭が下がります。
信号が変わればまもなく発車。
長瀞を出てすぐの踏切。SLは老若男女問わず大人気!
列車は秩父鉄道で一番長い鉄橋『荒川鉄橋』を通過。長さ167m、水面からの高さ20mと大スケールの橋から見る景色は素晴らしい!
ここでも川から手を振る人が!
遠くに『武甲山』が見えてくると、まもなく秩父の市街地へと入っていきます。
「秩父駅」に到着した「SLパレオエクスプレス」。
ここでの停車時間は8分。
機関士さんはかっこいいな。
列車は「御花畑駅」を過ぎ、秩父の山へと分け入っていきます。車窓には石灰石の採掘で削られた『武甲山』。
最大20‰の勾配を踏みしめるように、ゆっくりと進む列車。
熊谷から2時間40分。「SLパレオエクスプレス」は終点「三峰口駅」に到着。
SLを間近で見学できる転車台公園
「C58 363」は息つく間もなく客車を解放し、三峰口方へと引き上げ。
この後は転車台公園前の線路で復路に向けての整備、方向転換、そして今度は客車の熊谷方に連結し戻っていきます。
私も転車台公園に向かうとします。駅舎を出たら左へ。
踏切を渡ると…
転車台公園が見えてきました!
転車台の向こうには、さっき入換されてきたばかりの「C58 363」の姿があります。
「C58 363」はここで、給水や点検といった復路に向けての整備が行われますが、それらを間近で見学する事ができるのです。
車輪周りを点検する整備士さん。人の背丈と比べるといかに車輪が大きいのかがわかります。
点検が終了したらいよいよ転車台へ。蒸気機関車の進行方向を熊谷向きに転換します。
ゆっくりと転車台に乗る「C58 363」。
パトランプが点灯し、回転!
「C58 363」は半回転し、熊谷向きに変わりました。
線路にぴったり合わせれば、回転終了。
「C58 363」は再び線路へと戻って行きました。
この後すぐに入換作業を開始。客車が停まる隣の線路を走り一旦熊谷方へ。
今度は客車が停まる線路へバックで進入。
客車と連結し、復路の発車準備が整いました!
秩父鉄道沿線の食材を使ったイタリアンなSL弁当
熊谷行き「SLパレオエクスプレス」の発車時間が迫ってきたので、そろそろ駅へと戻ります。
発車時刻は14時03分。SL専用の改札口から入場します。
おなじみ、顔はめパネルもありました!
ホームへ。
さっそく蒸気機関車の前はギャラリーでいっぱいです!
復路では、事前に購入したお弁当をいただきます!「SLパレオエクスプレス」の車内で頂けるお弁当は、2021年2月からリニューアルしました。その名も『SLの車窓を楽しむワンプレートランチ』。なんておしゃれなネーミング!
しっかりお品書きも入っています。わくわく!では、オープン。
おぉー!豪華!これは美味しそう!
「埼玉武州和牛」のローストビーフ。しっとり柔らかい牛肉に、ワインの芳醇な風味が広がるソースがマッチ。
秩父産の「秩父ホエー豚」を使った秩父名物のわらじかつは、トマトのマリネを添えてイタリア風に。こちらはワインとバルサミコ酢を使った、さっぱりしたソース。
「さいたまヨーロッパ野菜研究会」という、ヨーロッパ野菜を栽培する若手農家グループが作った、彩り鮮やかな野菜たちが華を添えます。秩父名産の味噌「秩父おなめ」を使ったバーニャカウダーソースが、野菜の甘みや美味しさをうまく引き出してくれるのです。
秩父鉄道沿線の食材をふんだんに使った、おしゃれなイタリアンランチ弁当。こちらは事前予約限定で発売しているので、パレオエクスプレスに乗車する際はぜひ召し上がってみては?
パレオエクスプレスをジャーナル撮り
復路の熊谷行き「SLパレオエクスプレス」は「長瀞駅」でのみ8分間の停車時間があります。ホーム際に停車するので、正面からの写真撮影は難しそう。
カーブでジャーナル撮り。快調に走る「C58 363」。
新幹線の高架と合流すれば、まもなく熊谷。
熊谷の手前で、この後「SLパレオエクスプレス」を広瀬川原車両基地まで回送する電気機関車とすれ違い。
三峰口から2時間15分、熊谷から約6時間で再び「熊谷駅」へと戻ってきました。
「都心から一番近い蒸気機関車」と称するだけあって、乗客はほとんどが家族連れ、賑やかな道中でした。
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