大正から昭和初期生まれのレトロ電車のうち「23号」と「500号」がこの秋で引退となります。今回は最後の運行となった「シルバーウィークさよならイベント」へ行ってきました!
還暦の電車に乗って仏生山へ
「ことちゃん」のお出迎えで始まった今回の旅。
今、ことでんで現役で走る車両のひとつ、1000形はかつて京浜急行電鉄で活躍し、すでに60歳を超える年齢。これでも十分「レトロ電車」ですが、今回乗車するのは大正〜昭和初期生まれ、90歳を超える大ベテランです。
レトロ電車の始発となる仏生山駅には、クラウドファンディングにより京急時代の「赤」にラッピングされた1000形『還暦の赤い電車』が止まっていました。
さて今回の「シルバーウィークさよならイベント」に乗車できるのは、3部それぞれ78名ずつ、合計234名のみ。
891通の応募から奇跡的に抽選を引き当て、さらに乗車車両は「23号」。この世の運をすべて使い切ってしまったようです。
車庫の奥で、その時を待つレトロ電車。
動く博物館!大正生まれの電車に乗車
500号を先頭に入線!
瓦町方が500号、琴平方が23号、あいだに120号と300号を繋いだ4両編成です。
23号には、かつて琴平線を走った急行の鳩ヘッドマーク。めちゃくちゃカッコいい!
1925(大正14)年に製造された23号。御年95歳ですが、そうは見えないほど美しく整備されています。
至るところに使われている木材も、ご覧の通りツヤツヤ。
つり革まわりの造形。大正時代のモダンなセンスが感じられます。
もちろんクーラーなんてある訳もなく、窓は全開。風を感じながら列車に乗ることも、今となっては貴重です。
唸る吊りかけモーター、揺れる車内
「出発進行」。私が乗車する23号を先頭に、仏生山駅を発車。
吊りかけモーター特有の大きな音が唸ります。上下に揺れる激しい振動はまるでトランポリンのよう。決して乗り心地は良くないですが、これもすべて含めて95歳の車両の醍醐味。大正時代を体感できる列車なんて、他にはありません。
吊り掛けモーター音、のみ。#ことでん #レトロ電車 pic.twitter.com/OWZmUBpyGB
— マサテツ (@masatetsudo) 2020年9月20日
車窓には讃岐富士。
レトロ電車4両編成の最後の雄姿を押さえようと、沿線には多くのカメラマンが集まっていました。
レトロ電車は「琴電琴平駅」に到着。
ここで暫し休憩ののち、再び仏生山へと戻ります。
発車まで時間があったので、他の車両も見学へ。
見た目も大きさも違う車両たち。
120号・300号は大正15年、500号は昭和3年に製造されました。
有終の美を飾る2両のレトロ電車
そろそろ仏生山行きの発車時間です。
停車時間がある駅ではプチ撮影会。
どこへ行ってもレトロ電車は注目の的です。
レトロ電車は終点の仏生山駅に到着し、この日の「シルバーウィークさよならイベント」は終了。4両のレトロ電車は車庫へと引き上げていきました。
翌日の最終運行では琴平ではなく、瓦町そして高松築港へと走ったのだそう。有終の美を飾るにふさわしいイベントとなりました。
今回引退する23号と500号、ともに保存場所で第二の人生を送ります。引退は惜しいですが、大正時代の電車が現代まで現役だったのは逆に奇跡ではないでしょうか。長い間本当にお疲れさまでした。