マサテツ〜食べ鉄旅日記〜

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JR九州の「或る列車」|極上スイーツを味わえる豪華列車

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現代に蘇った"幻"の豪華列車で、極上のスイーツコースを味わう。JR KYUSHU SWEETS TRAIN「或る列車」に乗ってきました!

*2020年8月時点の情報を基に作成しています

ななつ星に次ぐ豪華列車

「或る列車」はみどりの窓口ではなく、専用サイトのWEB予約、または或る列車ツアーデスクへ電話予約します。

JR九州 | JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」

乗車の1週間前、自宅に届いたのは立派なパンフレットとクリアファイルに入れられたチケット。気持ちが盛り上がりますね!

時期によってルートが変わる「或る列車」。今回乗車するのは、博多〜ハウステンボス間のルート。博多駅の発車は7番線から。

発車20分前。向こうから煌びやかなに輝く列車が見えてきました!

2015年「ななつ星in九州」の次の列車、10番目のD&S列車として誕生した「或る列車」。いつか乗ってみたいと憧れた列車が目の前に!

或る列車は2両編成。国鉄時代に製造された「キハ47」という車両をなんと6億円を投じて改造。さらにななつ星とほぼ同じ価格だというから驚き!

前を照らすのは3つのライト。

塗装やステッカーではなく、ステンレス板等を加工したエンブレム。

煌びやかなゴールドのボディ。窓上のアーチ状の飾りは、豪華列車の飾り窓を模しているのだそう。

特に前面の唐草模様は塗装ではなく、真鍮板とステンレス板を加工した立体的なデザインなのはすごい!

扉もただの扉ではなく、なんと窓がステンドグラス!

ではいよいよ、赤い絨毯が敷かれた扉から車内へお邪魔します。

おぉー!すごい!なんて素敵な空間なんでしょう!

2名がけと4名がけのテーブルが並ぶ1号車。デザインを手掛けた水戸岡鋭治氏によると、フランスのベルサイユ宮殿をイメージしているのだとか。

クラシカルな雰囲気に包まれた空間。暖かい色合いの照明ですが、車内は意外と明るく感じます。スイーツを美味しく照らす明かりにもこだわっているよう。

内装に使われている木材は、メープル材という明るい色合いのもの。

細かな模様は、福岡県の特産工芸品である「大川組子」が用いられています。

見上げると、天井もすごい!白い漆喰に細かな模様が施された格天井。飾りの四つ葉のクローバーの中には、三つ葉と七つ葉がどこかに隠れてます。

2号車へ続く廊下、メープル材の大川組子とステンドグラスを組み合わせてあります。ため息が溢れる美しさ。

2号車はすべて個室で、2名用と1名用の個室が8室。ちなみに奥にはトイレと洗面所がありますが、こちらもとっても豪華なので要チェックです。

個室の仕切りにも大川組子が用いられています。こちらは落ち着いた色合いのウォールナット材。

繊細で細かな組子の技術は、あの「ななつ星in九州」でも使用されているのだそう。

今回の私の座席は、2号車の1人用個室。座席は2席ありますが、片側には窓がありません。

重厚感のある座席。

壁にも細かな装飾が。

大川組子の引き扉を閉めると、プライベートな空間に。これから登場する極上のスイーツをゆっくり堪能したいと思います。

メイドイン九州!豪華スイーツコース

「或る列車」のスイーツコースを演出するのは、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ、成澤由浩氏。 自然環境をテーマにした料理は国内外で高い評価を得ているのだそう。

テーブルにはすでに、1品目の料理がセッティングされています。或る列車のエンブレムが刻まれた木箱。その名も「NARISAWA "bento"」。

アルコールも含めてドリンクはフリー。まずは宮崎県「都農ワイン」のスパークリングワインで乾杯。

「或る列車」のスイーツコースには、一品ごとにテーマが名付けられています。それではまず「NARISAWA "bento"」をオープン。

【NARISAWA "bento"】[或る大地と海の恵み]
九州の旬の肉、魚、野菜を使用し、NARISAWAの味を堪能できる一箱。

「鹿児島県 黒豚と牛肉のメンチカツサンド」
柔らかくて肉の旨み濃厚なメンチカツを、やや酸味がありさっぱりとしたソースが纏います。「NARISAWA "bento"」の1品はライスを使った料理が多いそうで『パン料理はめずらしくて貴重ですよ』と客室乗務員さんが教えてくれました。

「熊本県 車海老とアジのサラダ」
天草地方でよく獲れる、車海老と鯵をサラダ仕立てに。ホワイトアスパラやオクラなど、旬の野菜もたっぷり入った一品。底にはマッシュポテトが隠れています。

ちなみに、或る列車の料理の素材はすべて"メイドイン九州"。ホワイトアスパラは"量より質"にこだわった、佐賀県の農家さんが我が子のように愛情を注いで育てた食材です。

「佐賀県 みつせ鶏と夏野菜のトマト煮込み」
フランスの優良肉用鶏を系譜にもつ「みつせ鶏」は、ぷりっと程よい弾力の肉質。トマト煮込みの甘みとバジルマヨソースのさわやかな香りが、みつせ鶏の旨みを一層引き立てます。

【スープ】[歓喜の香り]
「大分県 ムール貝とサフランのスープ」
ムール貝は、ヨーロッパではポピュラーな食材としてパエリアをはじめ多彩な料理に利用されています。国内で主に流通しているムール貝の多くは海外産の冷凍物ですが、大分県豊前灘の栄養豊かな干潟で育った養殖ムール貝が入ったスープ。
粒が大きくて身は柔らかく、深みのある味わいが広がります。ほんのりサフランの香り広がる温かいスープは、まさにテーマの通り風味豊かな"香り"が楽しめる一品。

【カクテルスイーツ】[楽園のカクテル]
「熊本県 白桃とヨーグルトのカクテル」

糖度が高くて美味しい桃が穫れる熊本県。完熟した桃の果肉と、甘くて風味豊かな桃のジュレ。さらに底にはヨーグルトと、味の重なりが楽しめるスイーツ。

食用花とともに、スイーツを美しく彩る小さな丸い玉。これは「アルギンボール」と呼ばれるもので、"アルギン"という物質でジュースを丸く固めたもの。

アルギンボールの色によってジュースの種類が違い、白桃とヨーグルトとともに複雑な味の変化がおもしろいです。

【スープスイーツ】[灼熱のさとうきび畑]
「鹿児島県 黒糖と、バナナ、月桃とカボスの香り」

器の下に敷かれたのは、月桃の葉。熱帯・亜熱帯地方に分布し、沖縄では古くから薬草・食品、さらには防虫剤・抗菌剤など広く親しまれてきた「月桃」。

このスイーツでは「月桃のゼリー」にする事で、独特の香りをアクセントに。バナナは、鹿児島県喜界島にある朝日酒造の純黒糖でキャラメリゼ。なぜ酒造店で黒糖なのか、それは焼酎の原料に黒糖が使われているから。さとうきび100%の"純黒糖"は、黒糖本来の味を楽しむことができます。

私はあまり黒糖が好きではないのですが、後味に残るエグミが全くなく、嫌味のないコクと強い風味が美味しくて、黒糖の苦手なイメージが一気に変わりました。

添えられた泡泡。泡の正体は"カボス"。しっかりした酸味と上品な香りがアクセントに効くことで、甘みが引き締まるようなイメージ。

或る列車のスイーツコースは、料理だけでなく器にもこだわりが。九州の職人による或る列車オリジナルの器を用意。
スープスイーツに使われる器は、長崎県に工房をもつ「瑠璃庵」製。長崎に古くから伝わる"びいとろ"の製法で作られた器。ガラスに入った大きめの気泡は華やかな見た目。光に照らされてクロスに映る模様も美しく感じられます。

【メインスイーツ】[トロピカルバケーション]
「宮崎県 ライチと鹿児島県 パッション、マンゴー、ドラゴンフルーツ、パイナップルのピニャコラーダ」

或る列車のスイーツコース、2020年夏メニューのメインスイーツは、トロピカルの名にふさわしい南国のフルーツが盛りだくさんの一品。

国内で出回るライチは、中国や東南アジア産の冷凍物がほとんどなのだそう。南国宮崎で育てられたライチは、噛んだ途端にプシュッと果肉が弾け、たっぷりの果汁が広がります。国内で僅か1%の流通量しかない"生ライチ"でしか味わえない体験なのです。

ココナッツのケーキから溢れるのは、パイナップルのジュレ。南国を一皿に表現したメインスイーツは、九州の爽やかな夏をイメージさせてくれます。

【ミニャルディーズ】[祝典のフィナーレ]
「大分県 薔薇&チョコレート 熊本県 甘夏&キャラメル 福岡県 抹茶&ホワイトチョコレート」
ミニャルディーズとは、フランス語で"可憐さ、上品さ"という意味。食事のあとのお茶と一緒に出される、甘い小さなお菓子のことをそう呼ぶのだそう。

スイーツコースの最後を彩るのは、ひと口サイズの甘いお菓子。コーヒーとともに味わいながら、今日のコースの余韻に浸りたいところ。
中でも、甘く濃厚なチョコレートに華やかなバラの香りが絶妙にマッチした「薔薇&チョコレート」は私好みでした。

味はもちろん、見た目にも煌びやかで美しいスイーツたち。これらはすべて或る列車の車内で、ひとつひとつパティシエの手で飾り付けられているのです。揺れる車内で繊細な作業をこなす職人技には脱帽です。

3時間をかけてゆっくりとハウステンボスへ

博多を出発した或る列車は、鹿児島本線、そして鳥栖から長崎本線へ。先を急ぐ特急列車に道を譲りながら、時間をかけてゆっくりと走ります。

博多からハウステンボスまでの区間で唯一扉が開いたのは、佐賀市の「鍋島駅」。

貨物駅を併設する静かな駅は、或る列車の雰囲気に反して無機質。
車窓が楽しめるような窓ではなく、停車駅での観光や地元の人とのふれあいがある訳でもない。あくまでも、豪華列車の雰囲気と極上のスイーツコースを楽しむことが「或る列車」の目的なのです。

博多から約3時間、或る列車の旅の終点「ハウステンボス駅」に到着。

時刻は18時。ハウステンボス内のホテルでゆっくり夜を過ごし、翌日はハウステンボスを満喫。または大村線で佐世保や長崎へ出ることも可能。九州西部の旅と組み合わせれば、より九州の魅力に触れることができるでしょう。

現代に蘇った豪華列車。みなさんも「或る列車」の旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。

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或る列車公式サイト

www.jrkyushu-aruressha.jp