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【越前と美濃を結ぶはずだった未成線】長良川鉄道・越美南線[鉄道完乗を目指す旅]

鉄道コム

乗り鉄の最終目標「日本の鉄道全線完乗」を目指す旅。今回は、岐阜県の美濃太田と北濃を結ぶ「長良川鉄道・越美南線」です。

全通を果たせなかった未成線

旅のスタートは「美濃太田駅」から。越美南線の他、高山線・太多線が接続する交通の要所。

「長良川鉄道」は、美濃太田〜北濃間(72.1km)の路線。岐阜県と福井県を結ぶ「越美線」として着工されましたが、全通を果たす事はありませんでした。
岐阜県側の越美南線は第三セクターの長良川鉄道に、福井県側の越美北線は「九頭竜線」の愛称で現在も運行されています。

長良川沿いを走る長良川鉄道では、その風光明美な車窓と食事が楽しめる「観光列車ながら」が、土日祝日を中心に運行されています。

美濃太田駅に停車していたのは、1両編成のワンマンカー。前と後ろでボディカラーが異なる、不思議な外観。

美濃太田方はぶどう色で、長良川鉄道の標準的なカラーリング。

そして北濃方には「ヤマト運輸」のラッピングが。

これは2017年からスタートした「客貨混載」つまり『乗客がいる営業列車で貨物も載せて運ぼう』というシステム。

この車内のスペースにヤマト運輸の宅急便を載せて、関から美並苅安まで輸送しています。

長良川鉄道は、空きスペースを有効活用した新たな収入源に。ヤマト運輸は、燃料費やCO2削減さらに働く環境の改善にも繋がるなど、互いにメリットの大きい取り組みのようです。

「なるほどなー」と感心しながら、私は貨物ではなく人間なのでボックスシートに着席。

景勝地で徐行、ゆら〜り眺めて清流列車

9:56。列車は定刻で美濃太田駅を発車。

「美濃市駅」までは人口の多いエリアで、列車のダイヤも1時間に1本は確保。しばらく車窓には、田畑と家並みが続きます。

長良川鉄道になってから開設された駅もある一方、国鉄時代からある駅ではレトロな木造駅舎が今でも残されています。

「関駅」には車庫や本社があり、長良川鉄道の中心駅。車庫の奥には「観光列車ながら」がチラリと見えました!

「美濃市駅」には錆び付いた車両が留め置かれていました。あとで調べてみると、これは2019年に引退した「ナガラ200形」。主力のナガラ300形のプロトタイプとして1両だけが製造された貴重な車両なのだそう。どこかに保存されるのか、それとも解体を待っているのか…

美濃市からは列車の本数が減り、車窓に木々が迫るようになります。

やがて見えてきたのは「長良川」。三重県郡上市の大日ヶ岳に源を発し伊勢湾へと注ぐ一級河川。四万十川・柿田川とともに「日本三大清流」のひとつとも呼ばれています。

長良川鉄道は「湯の洞温泉口駅」付近から終点の「北濃駅」まで、この長良川に沿って走ります。

トンネルが少ない長良川鉄道には、清流・長良川の美しい景観が望めるスポットがたくさん。

実は今回乗車した列車は、長良川が美しく見られるスポットで、速度を落として運転してくれるのです。その名も「ゆら〜り眺めて清流列車」。
美濃太田9:56発、北濃14:06発の1日2本が毎日運行されています。

普通列車として運行されているので、特別な料金は無し、観光案内もありません。ですが、鉄橋の上や長良川に近づく場所ではかなりゆっくり走るので注目ポイントなのはすぐわかるし、写真もこの通りきれいに撮れます!

せっかくなら車窓も存分に楽しみたい乗りつぶし旅にはもってこい。「ゆら〜り眺めて清流列車」に合わせて乗車するのもおすすめです。

有形文化財に指定された郡上八幡駅

美濃太田から約1時間20分で「郡上八幡駅」に到着。ここで一旦下車。

古い町並みにきれいな水路が流れるなど、風情ある町並みが残る奥美濃の小京都「郡上八幡」の最寄り駅。

1929(昭和4)年に開業。2015年に有形文化財に指定。2017年には開業時の外観に復元するなどリニューアルされました。

歴史を感じさせる木造駅舎。

ホーム屋根の柱には、古レールが使われています。

上下ホームを結ぶ跨線橋も、駅舎と同じく有形文化財に指定されています。

木造、板張りの跨線橋。

国鉄時代を思わせる看板文字にも注目。手書きなのかな?「もじ鉄」な人には堪らないフォントなのかも。

駅舎には、カフェと観光案内所を併設。

外にあるテラス席に座れば、行き来する列車を眺めながらコーヒーを頂けます。

観光案内所で貸し出しできるレンタサイクル。郡上八幡の市街地までは少し離れているので、サイクリングで観光するのもいいですね。

貴重な転車台が残る北濃駅

さて、再び列車に乗って長良川鉄道の終点「北濃駅」を目指します。

おおっ!?やってきたのは「観光列車ながら」ではないですか!

3両ある「観光列車ながら」のうち、2018年に導入された「ながら川風号」。

車内がロングシートの川風号は、テーブルを取り外して普通列車としても運用される事があるのだそう。運用は公開されていないので、乗車できたのは超ラッキー!

長良川沿いを走る列車。天空のような高さの道路は東海北陸道。

「美濃白鳥駅」で列車本数はさらに減ります。この先は、終点の北濃駅まで一列車しか入れない「スタフ閉塞式」。駅係員からスタフを受け取ります。

終点の北濃はまもなく。

長良川鉄道の終点「北濃駅」。

北濃〜九頭竜湖間を残し、道半ばで途切れた線路。
かつてはここから福井県の九頭竜湖駅までJRバスで連絡していたそうですが、現在は途中の石徹白集落まで走るコミニュティバスがあるのみ。

駅の片隅には、郡上八幡駅舎と同じく有形文化財に指定されている転車台があります。

1902(明治35)年に作られたアメリカンブリッジ社製の手動式転車台。大井川鐵道にある1897年製のものに次ぐ日本最古級のものだそう。

蒸気機関車の向きを変えるために、1969年まで使用された転車台。駅舎には当時の写真が展示されていました。

北濃駅の駅舎。越美南線が北濃まで開業したのは1934(昭和9)年。

駅舎の一部は「終着北濃駅」という飲食店が営業されています。

一般列車としても走る観光列車ながら・川風号

折り返しまで時間があったので「観光列車ながら 川風号」の車内を見学。

「観光列車ながら」の3編成目として登場した、川風号。デザインは、JR九州を中心に多くの観光列車を手がける水戸岡鋭治氏。

座席には木材が使われています。おしゃれなだけでなく、普段の列車とは違った特別な雰囲気を感じさせてくれますね。

右側左側で座席のデザインが異なるのも、芸が細かい!

観光列車として運転するときは、座席の前にテーブルが配置されるそう。美しい景観を眺めながら、食事もゆったり楽しめそうです。

車内の一角には飾り棚。観光列車ながらのオリジナルグッズが飾られています。

こんなおしゃれな列車がやってきたら、テンション上がっちゃいますね。

続いて外から。

ワインレッドのボディにゴールドで描かれた文字とロゴ。

ワインレッドと新緑のグリーンは、とても美しいですね。どこから撮っても絵になります。

さて、まもなく美濃太田行きの発車時間。

元来た線路を戻る列車。

郡上八幡駅。ワインレッドのながら号は、レトロな雰囲気の駅ともマッチしています。

降りたらそこは温泉!?みなみ子宝温泉駅

「みなみ子宝温泉駅」で下車。川風号とお別れ。

「みなみ子宝温泉駅」は、なんと駅舎が温泉になっている、日本でもめずらしい駅です。

列車を降りると、そこはもう温泉。

温泉の泉質は、無色・透明のアルカリ性単純温泉で、神経痛や関節痛に効果があるのだとか。露天風呂からは長良川と背後の山々が楽しめます。大自然を満喫しながらのお風呂は気持ち良かった!

風呂の後は牛乳でしょ!
館内には飲食コーナーや休憩室もあります。ゆったりのんびりくつろいでいたら、列車に乗り遅れてしまいそう…

でも、そんな心配はいりません!

休憩室にはなぜか信号機?
これが列車の到着を知らせてくれるのです。青は30分前、黄は15分前、赤は5分前と、わかりやすく知らせてくれます。これなら乗り遅れる心配もなくて安心。

美濃太田方面が「赤」になりました。そろそろホームへ。

美濃太田行きがやってきました。

温泉が気持ちよかったので、帰りはうとうと。列車の揺れとエンジン音が心地よい子守唄。

列車は終点の「美濃太田駅」に到着。

これにて今回の[鉄道完乗を目指す旅]は終了。

長良川鉄道越美南線美濃太田〜北濃間72.1kmを新たに塗りつぶし。鉄道全線完乗を目指す旅はまだまだ続きます。