「シゴナナ」こと「C57 180号機」が牽引。新潟県の新津と福島県の会津若松を結ぶ「SLばんえつ物語」。今回は、30席しかないグリーン車に乗ってSLの旅を楽しんできました!
*2020年10月の情報を基に作成しています
- SLリレー号に乗って新津へ
- 立ち売り駅弁屋さんで駅弁を調達
- 1列車に30席だけ!豪華設備のグリーン車
- 阿賀野川に沿って走るSLばんえつ物語
- 大迫力!シゴナナを間近で見学
- 新潟名物が詰まったSLばんえつ物語弁当
- 開放感のある展望車
- 磐梯山を眺めながら会津若松へ
- 指定席を連結した「快速あいづ」
- 関連リンク
SLリレー号に乗って新津へ
「SLばんえつ物語」は、新潟県の「新津駅」から発車します。以前は「新潟駅」まで乗り入れて新幹線と連絡していましたが、新潟駅の高架化にあたり急な上り勾配となったため、新津始発に変更になったそう。
そのため「快速SLリレー号」を新潟〜新津間で運転。新津で「SLばんえつ物語」に乗り換えができます。
立ち売り駅弁屋さんで駅弁を調達
「新津駅」に到着すると、すでに「SLばんえつ物語」はホームに停車中でした。SLの写真を撮ろうと「C57 180」(以下 シゴナナ)の前には、すでに多くの人だかりができています。
シゴナナは途中駅でゆっくり見ることにし、私はホームで立ち売りしている駅弁屋さんへ。
コンビニの台頭などで減少している駅弁屋ですが、新津には「神尾弁当部」「三新軒」の2社が存在。
多種多様な駅弁が並んでいますが、数に限りがあるので早めに購入しておく事がおすすめです。
1列車に30席だけ!豪華設備のグリーン車
駅弁をゲットし、早速車内へ。7両編成の客車のうち、グリーン車は最後尾の7号車。
扉の前には車掌かアテンダントさんが必ず立っており、グリーン券を見せないと車内に入ることができません。
重厚感のある木の背もたれ。
ワインレッドの座席は2列+1列の配置なので、大きくてゆったり。ふかふかで座り心地もよく、とっても快適。さすがグリーン車です!
さらに、グリーン車だけの特権。それがガラス張りの展望室。30名のグリーン車の乗客しか利用することができない空間。
会津若松行きは最後尾となり、後ろに流れてゆく景色を堪能。新津行きは最前部となり、力強いシゴナナの走りを目の前で感じる事ができるのです。
これが展望室から眺める景色。
凄くないですか!?これだけでもグリーン車に乗る価値があると思います!
阿賀野川に沿って走るSLばんえつ物語
10時05分、定刻に発車。多くの人に見送られながら「SLばんえつ物語」はゆっくりと新津駅を離れて行きます。
グリーン車では、車内改札とともに「グリーン車記念乗車証」が配られました。グリーン車に入る際はこの乗車証を見せてもOKとの事。
続いてアテンダントさんから頂いたのは、SLばんえつ物語のパンフレット。
中は沿線マップや蒸気機関車の仕組みが紹介されています。裏側にはスタンプが押せるスペースがあったので、後で押しに行くことにしましょう!
発車後しばらくは田園風景の中を走ります。
一直線に伸びる線路。後ろへ流れ行くSLの煙。展望室だからこその光景です。
「馬下駅」あたりから車窓の左側に「阿賀野川」が見えてきました。「SLばんえつ物語」が走る磐越西線は、この先「山都駅」まで阿賀野川に沿って走ります。
だんだんと山間部へ入り、トンネルが多くなってきました。グリーン車は、トンネルの中でも幻想的な光が車内を包み込みます。
福島・群馬の源流から新潟そして日本海に注ぐ阿賀野川。阿賀野川と自然の中を走る風光明媚な景色から、磐越西線には別名「森と水とロマンの鉄道」と名付けられています。
右に見える道路は、新しいトンネルが完成したことにより現在は廃道になったのだそう。鉄道からしか見られない阿賀野川の姿を眺めながら「SLばんえつ物語」はゆっくりと走ります。
沿線からは多くの人が手を振る姿が見られました。「SLばんえつ物語」は1999年4月29日に運行を開始。20年以上の歴史を誇るSL列車は、地域の皆さんにも親しまれている存在のようです。
大迫力!シゴナナを間近で見学
新津から約1時間、列車は「津川駅」に到着。ここでは約15分間停車します。
新津では人だかりができていましたが、ここ「津川駅」では比較的ゆったり。すぐそばまで近づくこともできるので、ゆっくりとシゴナナを観察してみましょう。
「C57 180号機」は1946(昭和21)年に広島県三原にある三菱重工業にて製造。新製当初から一貫して新潟県内の機関区に配置され、北は羽越本線秋田、南は信越本線直江津、東は磐越西線会津若松までを行動範囲としていたそう。
1969(昭和44)年、磐越西線の蒸気牽引最終列車を最後に引退。新津市立新津第一小学校の校庭に静態保存されました。
新津機関区のOBや保存会から手厚く整備清掃がされ保存状態が良かった「C57 180号機」は、1998年から動態復元を開始。その1年後、新潟の地に見事復活を果たしたのです。
人の背丈と比べると、いかに大きな動輪なのかがわかります。
雪をかき分けるスノープラウ。雪の中を走るSLは、またカッコいいんでしょうね!
停車時間も、機関士や整備士は休む間もなくシゴナナの点検とメンテナンスに入ります。
この先続く峠に備えてタンクに給水。
片道3時間を超える「SLばんえつ物語」の長旅は、多くの人の手で支えるのです。
津川駅のある阿賀町津川ではかつて「狐の嫁入り行列」と呼ばれる結婚式の儀式が行われていました。その伝承をもとに、昔の伝統的な婚礼を再現したお祭り『つがわ狐の嫁入り行列』には多くの観光客が訪れます。
ホームの待合室はかわいいお顔になっていて、「オコジロウの駅」と名付けられています。
ホームでは地元の人たちがおみやげを発売していました。
笹だんご、買っちゃいました!美味しかった!
新潟名物が詰まったSLばんえつ物語弁当
津川を発車し列車は山間部へと入りました。トンネルが続き、列車の歩みも心なしかゆっくりに。
畑が左へ向かって段々になっているのを見ると、上り勾配であることがよくわかると思います。
津川の発車は11時28分。そろそろお腹が空いてきたので、新津駅で購入した駅弁を頂きましょう!
神尾弁当部の「SLばんえつ物語弁当」。
新潟といえば「鮭」。なのでメインは鮭の塩焼き。ニシンや帆立の煮付け、いくらの醤油漬けなど、海の幸が豊富な駅弁。ご飯とおかずでどんどん箸がすすむ!やっぱり列車の旅には駅弁が欠かせませんね。
開放感のある展望車
「お腹もいっぱいだし、少しお散歩しよう」という事で、真っ赤なシートの普通車を通り抜け、4号車にある「展望車」へ。
丸々1両がフリースペース。大きな窓やハイデッキになった区画もあり、開放感のある車両から沿線の景色を楽しむことができます。
展望車にあるスタンプ台。ここで、先ほど頂いた記念乗車証に記念スタンプを押しましょう。
さらに右下には、車掌さんに改札印を押してもらいました!
改札印も特別仕様なので、日付も入って記念にぴったり。車内改札の時に、車掌さんにお願いしてみて下さい。
そしてなんと、展望車にはレトロな郵便ポストが置いてあります!これにはびっくり!ハガキを投函すれば、記念の消印を押して届くそうです。
展望車のお隣5号車には「売店」があります。お弁当、お菓子、ドリンクから記念グッズまで種類は豊富。
売店でドーナツとコーヒーを買って、展望車でおやつタイム。全区間乗り通すと乗車時間が長いので、車内でもお楽しみがあるのは嬉しいですね。
磐梯山を眺めながら会津若松へ
「SLばんえつ物語」は「山都駅」に到着。ここでは約10分停車、最後の長時間停車です。
峠を越えてきたシゴナナを点検。
石炭を積んだ貨車も整備。
終点会津若松までは、あと約40分。
向こうに磐梯山が見えてきました。雲はありますが、頂上はしっかり見えてますね。
「喜多方駅」には、こんなかわいい停止目標が。
磐越西線でも活躍するようになった、新型のGV-E400系とすれ違い。
平坦な会津盆地を展望室から望みます。「SLばんえつ物語」の旅もまもなく終点。
13時35分。新津から3時間30分で終点「会津若松駅」に到着。
風光明媚な景色、車内でのお楽しみ、そして「C57 180」の力強い姿を見たり、あっという間の旅でした。
列車はこの後、一旦側線へ回送。シゴナナを入換て再び新津へと帰って行きます。
多くの人に見送られながら「SLばんえつ物語」はバックでホームを後にしました。
指定席を連結した「快速あいづ」
新津行き「SLばんえつ物語」の発車は15時25分。約2時間あるので会津若松の町を観光するのも可能です。
会津若松からは他にも、会津鉄道経由で東武浅草へ、もしくは「快速あいづ」で郡山へ向かうルートがあります。
会津地方の郷土玩具「起き上がり小法師」をデザインした、かわいいヘッドマーク。
「快速あいづ」には指定席が連結されています。
必ず座れる指定席を取れば、リクライニングシートで快適。こちらもぜひ、旅の候補に入れてみては!
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