乗り鉄の最終目標「日本の鉄道全線完乗」を目指す旅。今回は、岐阜県の揖斐と三重県の桑名を結ぶ「養老鉄道」。岐阜県と三重県を結ぶ唯一の路線です。
京急と同じカラーの600系
養老鉄道は、揖斐駅〜桑名駅間(57.5km)の路線。今回は「旧谷汲駅」から揖斐川町コミュニティバスに乗車。「揖斐駅」から完乗を目指す旅のスタートです。

趣のある木造駅舎。

左手の広大な敷地は貨物用の引込線が敷かれていたのだそう。
窓口で「1日フリーきっぷ」を購入。お値段は1500円。

停車していたのは「600系」。620系とともに元近鉄の車両で、車体の長さ20mの4扉車。昭和40年代生まれとかなり古参な電車。
養老鉄道の車両は、編成によって色のバリエーションが異なります。この車両は「京浜急行電鉄」と同じカラー。これは創業者同じという縁から誕生した、京急コラボカラーなのだそう。

正面の窓には「サイクルトレイン」の表示。土休日の終日と平日昼間の指定列車に限り、なんと自転車をそのまま持ち込める無料サービスを実施しています(桑名を除く播磨〜揖斐間の各駅)。

揖斐駅の発車直前。のんびりとした車内。

車窓には遠くに山々。田んぼの合間に家が建ち並ぶ、長閑な光景が続きます。
大垣駅でスイッチバック

「室駅」を出ると右手から桑名方面の線路が合流。揖斐から約25分で「大垣駅」に到着します。

養老鉄道のほか、JR東海道本線と樽見鉄道が合流する「大垣駅」。
養老線は大垣駅でスイッチバックする形になっていて、列車もすべて大垣駅が終点。桑名方面へは乗り換えが必要となります。

昼間なので自転車の持ち込みが可能な時間。列車が入線するホームにママチャリの姿は、なんだか不思議な光景。このサイクルトレイン、沿線ではかなり浸透しているようで、途中駅でも自転車を持ち込む光景を多々見かけました。
ステンレス車体の7700系

やってきた桑名行きは「7700系」。車体の長さは18mの3扉車。揖斐から乗車した600系・620系を置き換える目的で、今どんどん導入されています。
この正面の特徴的な塗り分け。これは、東急時代に歌舞伎のメイク「隈取(くまどり)」のような色で鉄道ファンから「赤歌舞伎」と呼ばれていたカラーリングがモチーフで、その名も「緑歌舞伎」。
養老鉄道では懐かしの赤歌舞伎塗装の車両も走っています。電車のカラーにも注目です!

製造されたのは…
昭和41年製と、600系・620系と変わらない年代。ではなぜ7700系に置き換える?

答えは「オールステンレス」だから。
オールステンレス製の車体は傷みが少なく、また後に台車や電装品など積み替えられていたため、中身は比較的新しいのだそう。そうした事情から養老鉄道では7700系を、なんと、今後30年は使い続ける予定なのだそう!すごい!

車内はロングシートですが、一部クロスシートの部分があります。写真奥にチラッと見えてますね。

座席の柄、よーくみたら「ひょうたん」の柄でした。かわいい!

列車は大垣駅を発車。揖斐方面と線路が分かれる地点、今度は左へカーブしながら桑名を目指します。

車窓には水田、時々家並み。
養老駅はひょうたんだらけ!

養老駅に到着。ここで一旦下車します。

あっちにひょうたん。

こっちにひょうたん。

ここもひょうたん。

こんなところにもひょうたん。
養老駅はなぜひょうたんだらけ?

答えは、駅前の石像にあります。彼は「孝子源丞内」。
昔々、老父と暮らす若者が、山で酒が湧き出る泉を見つけ、腰に下げた「ひょうたん」に入れて持ち帰り酒好きの父に飲ませた。それが元正天皇の耳に入り「老父を養った」ことからその泉を「養老の瀧」と名付けた、という養老伝説。
若者の名は孝子源丞内、そして養老伝説発祥地にあるのが養老駅。だからひょうたんだらけなのですね。


「養老駅」は大正2年7月開業。駅舎は大正8年に改築されたもので、瓦屋根でありながら飾りのついたドーマ窓があるという和洋折衷。

日本の滝百選、名水百選に選ばれている「養老の滝」は駅から約4キロ。時間があればぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
養老山地と揖斐川に挟まれて走る養老鉄道
再び列車に乗り、終点の桑名を目指します。

養老駅で離合する大垣行き列車。

しばらくして桑名行きが到着。やってきたのは620系。赤一色の塗装は「近鉄マルーン」とよばれているのだとか。

右手に迫るのは養老山地。

左手には揖斐川。実は揖斐から桑名までずっと揖斐川の西岸に沿って走る養老鉄道ですが、川の姿はほとんど見えません。ちなみに大外羽〜烏江間で渡る川は牧田川と杭瀬川。

単線なので、行き違いでしばらく停車する事も。

岐阜県内は美濃松山まで。次の多度から先は三重県に入ります。
『お伊勢参らばお多度もかけよ、お多度かけねば片参り』と昔から詠まれてきた「多度大社」は「多度駅」が最寄り。
立体交差をくぐり近鉄名古屋線と合流すると、やがて列車は終点の「桑名駅」に到着します。
養老鉄道の改札口は、近鉄名古屋線の下り6番線ホームの中間あたり。桑名駅は新しい駅舎を建設中で、2020年秋ごろまでには東西自由通路から養老線へ直接アクセスできるように改良される予定だそうです。
これにて今回の[全線完乗を目指す旅]は終了。

養老鉄道養老線揖斐〜桑名間57.5kmを新たに塗りつぶし。鉄道全線完乗を目指す旅はまだまだ続きます。