2日間限りで復活した予讃線の急行列車。前日の復刻「いよ号」に引き続き、今回は復刻「うわじま号」に乗車。原形エンジンを搭載した国鉄型気動車の旅を楽しんできました!
*2022年5月の情報を基に作成しています
国鉄時代から変わらない原形エンジンのキハ47
旅のスタートは「松山駅」から。高架化工事が進行中の「松山駅」。三角屋根の趣のある駅舎が見られるのもあと数年です。
今回乗車する復刻「うわじま号」は、松山を10時7分に発車。途中伊予西条で約1時間20分停車したのち、終点高松には17時29分の到着。約7時間半の旅です。
発車案内には「復刻うわじま」の文字。
「キハ47」が入線してきました!
今日は「急行うわじま」のヘッドマークが先頭を飾ります。
ホームには「こうちれっちゃくん」の姿が!
今日は「こうちれっちゃくん」も一緒に旅するみたい。
それでは「うわじま号」7時間半の旅へ出発!
キハ47系「うわじま号」。エンジン唸るキハ47とアルプスの牧場。ちなみにアルプスの牧場は録音だって。 pic.twitter.com/r7JjbFCrWs
— マサテツ (@masatetsudo) 2022年5月15日
今日も天気はすっきりせず、どんよりとした曇り空。JR四国の「キハ47」は、国鉄時代から変わらない「DMH15HSA」と呼ばれるエンジンを搭載した、貴重な車両。重く力強い重低音と振動を響かせながら、列車は予讃線を快走。
「伊予和気駅」に到着。単線区間の予讃線は、特急や普通列車が1時間に1本ずつ走る高密度。行き違い、通過待ちをしながら、ダイヤの合間を縫って走ります。
「伊予北条駅」。
「浅海駅」。
「今治駅」。
「大西駅」では、事業用車両と遭遇。よーく見ると、ボディカラーはエヴァンゲリオン!?
復活した奇跡の駅弁、醤油めし
車内では少し遅めの朝ごはん。特製の掛け紙に包まれたお弁当。
中から現れたのは、松山名物「醤油めし」。「醤油めし」はかつて調整元が倒産し、一度は失われてしまったのだそう。ところがその後、岡山の駅弁業者「三好野」によって復活を遂げた、奇跡の駅弁なのです!
メインの「醤油めし」は箱いっぱいに敷き詰められています。イメージとしては、あっさりした炊き込みごはん。「醤油」と言っても決して濃くないので、上のおかずと一緒に食べ進めてもいいかも。美味しい!
フリーゲージトレインの中を特別公開
12時4分。「うわじま号」は「伊予西条駅」に到着。
昭和の国鉄時代の雰囲気を残した駅舎。ここでは約1時間20分停車。
駅前にある鉄道博物館「鉄道歴史パークin SAIJO」を見学します!
まずは南館へ。建物の外にどーんと鎮座するのは、フリーゲージトレインの第2次試験車「GCT01-201」。
新幹線の標準軌(1435㎜)と在来線の狭軌(1067㎜)の異なる軌間(ゲージ)に車輪の幅を変換して、直通運転を可能とするために開発されたのが、フリーゲージトレイン。
軌間を可変するために重要な台車。普通の車両と比べても、構造が複雑なのがわかります。
海外の高速鉄道っぽい外観がカッコいい!
今回のツアーでは、特別にフリーゲージトレインの車内を見学する事ができました!すごい!
フリーゲージトレインの歴史や、四国の新幹線事業についてのパネル展示。
フリーゲージトレインの仕組みがわかる模型。実際に台車を動かしてみると、車輪の幅が狭軌から標準軌に変わった!
運転席の中も見学できました!
ブレーキとマスコンの位置は新幹線と同じなんですね。液晶パネルが多様されたコックピット。カッコいい!
うわじま号として走ったキハ65の解説
それでは、南館の建物の中へ。
まず目に飛び込んだのは、貴婦人の愛称で知られる「C57形蒸気機関車」。
「DE10 1号機」は、入換用やローカル線用に開発されたディーゼル機関車。
機器室の扉が開いた状態で、機関車の中の機器がまる見え!
V型12気筒1350PSのディーゼルエンジン。すごい!
そして今回復刻された「うわじま号」として走っていた「キハ65」。
サボには「うわじま」。
パノラミックウィンドウと呼ばれる、ワイドな前面窓が特徴。
折り戸式の扉や、上段と下段で分かれたユニット窓など、同時期に活躍した「キハ58」とは大きく外観が違います。
今回のツアーでは特別に、元国鉄マンの館長さんによる「キハ65」の解説が行われました。
「キハ65」は高出力のエンジンで四国の冷房化率100%に貢献。時速95kmで疾走するのは気持ちよかったそう。
座席は普通列車に格下げされた際に取り替えられたのだとか。
車内には栓抜きがそのまま残されています。館内に販売する瓶のコーラを買えば、当時さながらの栓抜き体験もできるのです。
ボックスシートに座って、当時の急行列車に思いを馳せてみるのもいいですね。
外へ出ると、フリーゲージトレインと肩を並べる「キハ47」の姿が。
新幹線の父、十河信二
跨線橋を渡り、今度は南館へ。
建物の前には、第四代国鉄総裁十河信二の銅像。隣の新居浜市出身で、西条市の市長を務めたあと国鉄総裁となった、西条にゆかりのある人物なのです。
館内に並ぶのは初代新幹線「0系」とディーゼル機関車「DF50」。
夢の超特急「東海道新幹線」の建設を実現した十河信二は「新幹線の父」とも呼ばれています。
その初代新幹線「0系」の車内。
運転席も見学できました。メーター類がずらりと並んだ運転席。運転台の位置がとても高くて、新幹線の大きさが窺えました。
「DF50」はディーゼルエンジン直結の発電機でモーターを駆動する、電気式ディーゼル機関車。先ほどの館長さんの解説では、幻の蒸気機関車「C63」や、実は十河信二と関係のある「DF50」についてのお話も。十河信二は新幹線だけでなく在来線の無煙化にも貢献したそう。
「DF50」の運転台。実際に座る事ができます。大きなマスコンハンドルがカッコいい!
展示物を見ていると「急行うわじま」のヘッドマークを発見。地が白一色で、今回掲げられているヘッドマークより前の時代のものですね。
展望台からアンパンマンしおかぜを眺めていると、そろそろ発車の時間に。
今治駅の有名駅弁、鯛めし弁当
再びキハ47「うわじま号」に乗り、終点高松を目指します。
時刻は13時を過ぎ、少し遅めのランチタイム。配られたのは、特製の掛け紙がかけられたお弁当。
今治駅の駅弁「鯛めし」です!一度いただいた事があるのですが、これがとっても美味しいのです!
鯛のほぐし身、鯛の出汁が染み込んだご飯。ひと口食べると「あれっ?結構薄味」と思うのですが、これが食べ進めるうちにこの味付けがちょうどよくなってくる!鯛の味わいが素直に感じられる味なのです。
おかずもたっぷり!シンプルイズベストという言葉がぴったり。鯛の美味しさが広がる素朴な「鯛めし弁当」です。
今回のツアーでいただいたノベルティ。前日の「いよ号」の旅に引き続き、特製のサボ。
裏はこんな感じ。実際に車両に取り付けてみたかったなー。
当時の急行券を模した硬券。ちゃんと地紋が国鉄になってる!
2日間に渡った旅も終盤へ
列車は「伊予三島駅」に到着。
ここでは約40分のバカ停。
「キハ47」の前に置かれたのは、こうちれっちゃくんと「せとうちノスタルジー」のヘッドマーク。
「せとうちノスタルジー」は、かつて「キハ47」で走ったツアー列車なのだそう。首都圏色と四国色のヨンナナが描かれています。
まだまだ時間があるので、駅の外へ。
先に発車してゆく「しおかぜ」。
外は特に何もなかったので、ホームに戻ってきました。1・2番線のホームの上屋。結構レトロな趣き。
柱のこの形、もしかしてレール!?
特急2本と普通列車1本を退避し、列車はまもなく発車。
続いて停車したのは「川之江駅」。
この旅はじめての、貨物列車との行き違い。
「多度津駅」に到着。
発車案内には「急行うわじま」と「特急南風」が並ぶ世界線。まさに昭和にタイムスリップ。
ついに最後の停車駅「宇多津駅」。
隣のホームを「南風」が発車して行きました。宇多津を出ると約30分で旅の終着駅「高松駅」です。
17時29分。復刻「うわじま号」は終点「高松駅」に到着。短い時間ですが「アンパンマントロッコ」と並びました!
2日間に渡って、私たちを楽しませてくれた「キハ47」ともお別れ。
「キハ47」はゆっくりと高松運転所へと回送されて行きました。
本来の「いよ号」「うわじま号」は「キハ58」「キハ65」で運転されていたので車両は違うものの、国鉄時代と変わらない原形エンジンのサウンドを聞きながら当時の旅の雰囲気を楽しむことができました。当時と同じヘッドマークを掲げて走った国鉄顔の「キハ47」はやっぱりカッコよかった!
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