東武鉄道の下今市〜鬼怒川温泉間を走る「SL大樹」と、東武日光へ直通する「SL大樹ふたら」に乗車。日光鬼怒川の地で復活した蒸気機関車の走りを堪能してきました!
*2021年4月時点の情報を基に作成しています
- 全国各地からやってきたSL、DL、客車
- 「SL大樹ふたら」は東武日光へ
- 乗り換えなしで鬼怒川温泉へ
- 鬼怒川温泉駅転車台
- 「SL大樹ふたら」から「SL大樹」へ
- SLと客車の連結作業を見学
- 機関庫へ戻るSL
- 関連リンク
全国各地からやってきたSL、DL、客車
まずは「下今市駅」から「SL大樹ふたら」に乗車。東武日光を目指します。ホームから離れた側線には、すでに「SL大樹ふたら」が入換の時を待っています。
運転室では石炭を釜へ投下。準備は万端のよう。
まずは、後部に連結された「DE10 1099」を先頭に浅草方へ。
今日の牽引機「C11 325」を先頭に「SL大樹ふたら」堂々の入線です!
「SL大樹ふたら」は日光方に「C11 325」、14系客車3両、浅草方に補機の「DE10 1099」を繋いだ編成。
C11 325号機は1946(昭和21)年に製造。1972年に引退しましたが、1997年に栃木県の真岡鐵道で復活。2020年に東武鉄道に譲渡され、12月から2機目の「SL大樹」として運行を始めました。
2020年10月には下今市〜鬼怒川温泉間の「SL大樹」に加えて、下今市〜東武日光間を走る「SL大樹ふたら」が運行を開始。
「ふたら」は日光の地名の由来となった男体山のかつての呼び名「二荒山(ふたらさん)」に由来。男体山とそのシンボルである大剣をイメージしたヘッドマークがカッコいい!
「今」のサボは下今市機関区所属を意味。その隣には今日の運行行路。
機関室。ハンドルやバルブなど、どれもピカピカ!
SL大樹ふたらの時刻カード。
奥にチラリと見えるのは、石炭を投下する"たき口"。
そんな機関室に、ひとつだけ真新しい装置が。現代の鉄道システムに欠かせない「自動列車停止装置(ATS)」の表示機。本線上を走るためにはATS装置が必要ですが、蒸気機関車にその装置を搭載するスペースはありませんでした。
そこで白羽の矢が立たれたのが「車掌室」。かつては貨物列車の最後尾に連結され車掌が乗り込んでいた車掌室にATS装置を搭載。蒸気機関車の次位に必ず連結する事で、安全性が保たれるんですね!
補機としてSLの運行を支える「DE10 1099」。国鉄型ディーゼル機関車も、今では数が少なくなり貴重な存在。
以前は北斗星カラーに身を包んだ「DE10 1109」で南栗橋〜鬼怒川温泉間を往復するツアーにも参加しました!
客車は国鉄時代に製造された「14系」と呼ばれる客車。こちらはJR四国、JR北海道からやってきました。
ドアオープン!
ずらりと並んだ、青いモケットのシート。特急向けに製造された客車なので、座席はリクライニングシート、窓は固定窓。12系よりグレードが高くなってます。
ただしこの座席、簡易リクライニングシートと言って、座席をリクライニングしてもストッパー機能がありません。なので少しでも気を抜くと元に戻ろうとする力が働き「バタン!」と大きな音がして、リクライニングが解除されてしまいます。当時は「バッタンシート」なんて呼ばれて不評だったそう。でも今の私たちにとっては、国鉄時代をしのぶ懐かしのアイテムです。
「SL大樹ふたら」は東武日光へ
駅員さんの熱烈お見送りを受けながら「SL大樹ふたら」は「下今市駅」を発車!
ハイケンスのセレナーデからの汽笛。痺れる!#SL大樹 pic.twitter.com/WdR6kuiGyv
— マサテツ (@masatetsudo) 2021年4月4日
思いのほかゆっくりと歩みを進める列車。それもそのはず、東武日光までは急な上り勾配が続くから。
大きくカーブする列車。
その頃、車内では記念乗車証が配られました。「SL大樹ふたら」の往復、その後の「SL大樹」の往復で計4枚。「C11 207」と「C11 325」2機のSLをデザインしたカッコいい乗車証は、乗車のいい記念になりますね!
下今市から東武日光までは約20分。その間にお弁当を頂きます。やっぱり列車の旅に駅弁は欠かせない!
今年3月に発売されたばかりの「油源日光幕の内辨當 大樹」。C11 207の焼印が入った玉子焼きがインパクト大。日光湯葉や日光産豚肉など、地産地消にもこだわった駅弁。美味しい!
眼下に「JR日光駅」の歴史ある駅舎が見えると、まもなく終点の「東武日光駅」に到着。
東武日光に着いてもすぐにドアは開きません。車内アナウンスでは「ブレーキ試験のため」と案内されていました。『構内勾配転動防止』の票板が、その理由を意味します。
しばらくして扉が開き「東武日光駅」のホームへ。
こちらでも駅員さんが横断幕を掲げて熱烈感激!
東武日光駅のホームに青の国鉄客車が止まった、この光景。嘘か誠か不思議に感じてしまいます。
急勾配を走ってきた「C11 325」はここで給水作業に。
最新型「リバティ」と並ぶ蒸気機関車。
乗り換えなしで鬼怒川温泉へ
東武日光駅には転車台や機回し線がないため、復路は「DE10 1099」が先頭に。
DE10にも風格高いヘッドマークが掲げられていました。
客車の窓から見えるDE10。
「SL大樹ふたら」は「東武日光駅」を発車。ブレーキをかけながら今度は下り勾配をゆっくりと下ります。
沿線の桜がきれい!
左手に鬼怒川線が見えてくると、まもなく「下今市駅」に到着。今回はこのまま扉扱いをせず再び「C11 325」を先頭に今度は「鬼怒川温泉駅」を目指して走ります。
大きな川を渡る列車。
東武日光線と比べるとそれほど勾配は無さそうですが、急なカーブが連続。
日光自動車学校の看板に目を惹かれながら、列車はゆっくりと走ります。
鬼怒川温泉駅転車台
「鬼怒川温泉駅」に到着した「SL大樹」。
蒸気機関車の前はご覧の人だかり!
ここではC11とDE10の位置を入れ替えるため、少々複雑な入換作業があります。まずは客車とC11 325を切り離し、単機で転車台へ。DE10も同じく客車から切り離し、鬼怒川温泉方へ入換。
蒸気機関車の回転シーンを見学するため一旦駅舎を出て外の広場へ向かいます。
改札の前では、観光地おなじみの顔出しパネル。
有人改札口には本物の石炭が展示されていました。これには興味津々。
さて、駅前の広場へ向かうとそこには大きな転車台が。
この転車台はかつてJR西日本の「三次駅」にあったもの。遠く広島県からはるばるやってきて、この地で第二の人生を歩む事となった転車台。
向こうからC11 325がゆっくり近づいてきました!
「ドーン」。蒸気機関車が転車台に乗った瞬間大きな音が響きます。
いよいよ回転!
下今市方に向きを変えるため蒸気機関車は180度回ります。
車掌車からは手を振る機関士さん。東武鉄道はサービス満点ですね!
「ガチャン」。転車台を固定し回転終了。
C11 325は再び線路へと走り出しました。
「SL大樹ふたら」から「SL大樹」へ
さて、ここでアナウンスが。「この後はヘッドマークを交換するところがご覧頂けます」アナウンスを聞いて皆さん移動!
ヘッドマークの交換ポイントで停車したC11 325。
係員さんが乗り込みました。いよいよです!
おぉー、こうやって変えるんだ!
SL大樹ふたらから「SL大樹」に変わりました!「SL大樹ふたら」は下今市〜東武日光間、「SL大樹」は下今市〜鬼怒川温泉間を走る列車名なので、こうしてヘッドマークを変えるのですね。
「SLふたら」から「SL大樹」に変わる瞬間! pic.twitter.com/HHbXEeC11P
— マサテツ (@masatetsudo) 2021年4月4日
鬼怒川温泉駅駅長さんが大樹の前で敬礼。カッコいい!憧れますね!
SLと客車の連結作業を見学
この後はSLと客車足早にホームへ戻ります。
6050型リバイバルカラーと並ぶ14系客車。
C11 325は先ほどヘッドマーク交換儀式を行った場所から入換を開始。まずは下今市方に引上。
車掌室を先頭にゆっくりと入線するC11 325。
赤色旗の合図で停止。
係員が連結の準備に取り掛かります。
連結合図により、連結作業開始。
大きな動輪がゆっくり、ゆっくり回ります。
やわやわ。連結!
係員が線路へ降り連結状態に異常がない事を確認し、連結完了です。
下今市方に「C11 325」鬼怒川温泉方に「DE10 1099」を繋ぎ、復路の準備が整いました。
先頭を飾るヘッドマークは「大樹」に。C11形と同じ3つの動輪に「大樹」の文字を重ねたデザインは、徳川将軍の家紋である「三つ葉葵」もイメージさせる、奥深いデザイン。
まもなく出発の時を迎えます。
再び14系の車内へ。
外は雨がぱらついてきました。綺麗に咲き誇る桜の花も、雨で散ってしまうのでしょうか。
「SL大樹」は終点の「下今市駅」に到着。下今市〜鬼怒川温泉間は片道約35分と短い時間ですが、今回の旅では東武日光、鬼怒川温泉へそれぞれ往復、乗車時間は約1時間50となり乗り鉄にとっては大満足。
機関庫へ戻るSL
SLの運行を支えてきた「DE10 1099」。今日の「SL大樹」の運行はこれで終了。最後は車庫へと引き上げるC11 325を見届けるとしましょう。
下今市駅の駅構内にある「SL展示館」へと続く通路。「SL展示館」にはSLの車体や運転室の実物大写真、SLの仕組み解説、東武線でかつて活躍していたSLの写真など、SLの魅力を伝える展示物が並びます。
ゲートに迎えられ、転車台広場へ。
広場にある転車台は、山口県の「長門市駅」から移設されたもの。そして正面にはSLとDLが休む機関庫。
DE10に引かれてホームがない側線へとやってきた大樹。
ここでC11 325と客車を切り離します。
単機となったC11 325は一旦浅草方へ。
そして転車台へゆっくりと入線。
ブザー鳴り、転車台が回り始めました。
ゆっくりと向きを変えたC11 325は機関庫へ。
蒸気機関車の1日はこれで終わりではありません。機関庫で点検やメンテナンスを行い、また次の運行へ備えます。
ガラス張りになった機関庫からは、その様子も目の前で見学する事ができます。
次の列車の時間が迫ってきたのでホームへ戻ると、ちょうどDE10が機関庫へと戻る所でした。
今回乗車した「SL大樹ふたら」は団体ツアー限定の運行。「SL大樹」は主に金曜日〜月曜日の週4日間、さらに2021年8月からは毎日運行されるそう。
東京から特急で約1時間40分で出会えるSL。「SL大樹」に乗車してみては?
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