令和の時代に唯一生き残った貴重な国鉄ジョイフルトレイン。「サロンカーなにわ」通称「大サロ」の団体臨時列車に乗って岡山へ!
- 旅の始まりは展望室から
- 国鉄時代に生まれた欧風ジョイフルトレイン
- 国鉄電気機関車と国鉄客車コンビ
- 客車の旅だからこその風景
- 史上初!PPでサロンカーなにわを回送
- 山陽路をひた走るサロンカーみずしま号
- サンセットタイム、ヘッドマークデザインが現実に
旅の始まりは展望室から
今回は「鉄道旅倶楽部」主催の「サロンカーなにわで行く岡山・倉敷の旅」に参加します。
受付で頂いたグッズに早速びっくり!オリジナルグッズが豪華!
まずは「サロンカーなにわ」のチケットホルダー。
中には今日のチケットが。
ピンバッチは「サロンカーみずしま」のヘッドマーク。そう、今回の旅の列車名は「急行 サロンカーみずしま」号。列車名もデザインも秀逸!
そして今日明日の行程表。こちらのデザインにも抜かりなし。ワクワク!ワクワク!
ホームに上がると、発車案内には「団体」表示。そろそろ来るかな…
来た!
おぉーー!!すごい!!国鉄時代の電気機関車「EF65 1135号機」の牽引で堂々の入線。
「サロンカーなにわ」が到着して一気に賑わうホーム。
ゆっくり写真を撮りたいところですが、停車時間は短いので早々に車内へ。
さっそく最後尾の展望室へ。
ホームの人に手を振る乗客。
大勢の人に見送られて「サロンカーみずしま」号はゆっくりと大阪駅を離れます。
国鉄時代に生まれた欧風ジョイフルトレイン
まずはスリッパに履き替え。
そう、車内は土足厳禁。列車の中でスリッパを履くなんて、新鮮すぎる!
デッキと客室の間にはステンドグラス。バブリーだ!
デッキから客室へ。純喫茶の入口って感じのドア。さっきから、列車の中じゃなくておばあちゃんの家にいるみたい。
では、客室へ!
片側に寄せた通路。
しかも座席は1+2が千鳥配置。こんな列車見たことない!
しかも、さまざまな位置で座席が固定できるので…
向かい合わせにしたり、
真ん中にテーブルを置いたりすることもできる。なんて自由なんだ!
「サロンカーなにわ」は全車がグリーン車なので、座席はゆったりふかふか。
そして前の人がいっぱい倒しても気にならないぐらい広ーーいシートピッチ。
レース状のヘッドレストとアームレストが、なんだか昭和の雰囲気を醸し出しています。
座席番号には、めずらしい「中央」の表記。
「通風器」と書かれたツマミ。換気扇のことでしょうか。
車内を探検!
洗面台には紙コップホルダー。
数少なくなった折り戸。
年代もののオーディオ設備。
すごい、なんだここは!?
先頭の1号車は、1両すべてが展望ラウンジになっています。
ふかふかのソファにふかふかな座布団まで置いてさらにふかふかのソファ。
豪華なシャンデリア。
「サロンカーなにわ」で一番の特等席。
こちらはラウンジスペース。
お酒を並べたら、まさに走るバーになりますね。
キーボードまである。楽器まで用意してあるなんて、どこの豪華列車だ!?
再び最後尾の展望室へ。
こちらは車両の半分で、さっきの展望ラウンジよりは狭め。
『往年の展望車を持つ豪華な欧風調の客車列車』のイメージで作られたという、サロンカーなにわ。
去りゆく景色を眺めながら、優雅なひとときに浸ります。
国鉄電気機関車と国鉄客車コンビ
列車は山陽本線を順調に西進。普通電車を追い越し…
須磨海岸。空はやや曇りがち。
明石海峡大橋。キラキラと輝く海が美しい。
明石電車区を通過。
さてその頃、車内ではお弁当が配られました。
掛け紙が特別仕様!なんて素晴らしいデザインなんでしょう!
美味しく頂きましたー。
「急行 サロンカーみずしま」号は「御着駅」に到着。列車はここで小休止。扉も開放されたので、車両をゆっくりと見学するとします。
「サロンカーなにわ」は1983(昭和58)年に登場。当時の国鉄大阪鉄道管理局ではスロ81・スロフ81のお座敷客車を所有していましたが、団体需要の高まり対応できていませんでした。
当時民間バスでデラックス化が進んでいたことを踏まえ、大阪局では『往年の展望車を持つ豪華な欧風調の客車列車』という車両イメージの元、元14系座席車を改造した「サロンカーなにわ」が誕生しました。(「サロンカーみずしまで行く岡山・倉敷の旅」リーフレットより)
当時は「ジョイフルトレイン」と呼ばれる、団体専用列車に使用される車両が数多くありました。しかし旅行形態の変化や小口団体が主となった今、昭和に誕生したジョイフルトレインは「サロンカーなにわ」を残すのみです。
戦前の特別急行列車に連結されていた展望車を思わせるデザイン。
大阪の象徴、大阪城を中心に据えたテールマーク。
深い青緑色をベースとした塗装は、かつてのトワイライトエクスプレスを彷彿とさせます。
この日の「サロンカーみずしま」号を牽引するのは「EF65 1135号機」。
1965年から14年に渡り製造されたEF65の中で、最終形態となった「PF形」と呼ばれる1000番台。
国鉄電気機関車が国鉄客車を牽引する。国鉄時代の姿が現代に蘇った貴重な姿です。
客車の旅だからこその風景
御着を発車した「サロンカーみずしま」号。今度は車内改札が始まりました。
硬券の急行券に入鋏。演出が凝ってる!まさに昭和にタイムスリップしたみたい。
山陽路を快調に走る「サロンカーみずしま」号。
山々は紅葉真っ盛り。
終点の岡山が近づいてきたので、再び展望室へ。
新幹線が猛スピードで隣を通過して行きました。新幹線では味わえない、ゆっくり走るからこそ見える景色が客車列車にはあります。
大阪から約3時間30分。「急行 サロンカーみずしま」号は終点の「岡山駅」に到着。
全員が降車し電気が消えた「サロンカーなにわ」。このあと車庫へ回送され、明日の復路に備えます。
時刻はまだ15時。ツアーは、明日の「サロンカーみずしま」号の発車時間まで自由行動。乗り鉄する人、撮り鉄する人、観光を楽しむ人。出発の時間まで皆さん思い思いの時間を楽しんでいました。
史上初!PPでサロンカーなにわを回送
翌日。クリスマスに装飾された(させられた)岡山駅前の桃太郎。
午前中はオプショナルツアーの水島臨海鉄道を楽しみ、復路の「サロンカーみずしま」号の乗車時間を迎えました。
復路は「倉敷駅」が始発。
岡山の車両基地から回送されてきた「サロンカーなにわ」。この際、倉敷駅には機回り設備がないのでプッシュプル(前と後ろに電気機関車を連結して客車を挟む)で運転されてきました。
「サロンカーなにわ」をプッシュプルで運転するのはとてもめずらしい(史上初かも)そうで、沿線には多くの撮り鉄が集結。ツアーに参加されていた人も沿線で撮影に勤しんでいらっしゃったそう。
後ろの機関車はすでに切り離され、サロンカーみずしまの発車後に単機で回送されます。
準備が整い扉が開いたので車内へ。
まだ誰もいない展望ラウンジ。復路は最後尾になります。
倉敷まで牽引してきた「EF65 1134号機」が目の前!
変わって先頭の展望室。
昨日と同じく「EF65 1135号機」が終点の大阪まで牽引します。
山陽路をひた走るサロンカーみずしま号
急行サロンカーみずしま号。プッシュプルで牽引してきたEF65を残し、倉敷を定刻で発車。 pic.twitter.com/AdAzLzEcbv
— マサテツ (@masatetsudo) 2020年12月13日
14時ちょうど。「急行 サロンカーみずしま」号復路の旅が始まりました。EF65電気機関車を残し、ゆっくりと倉敷を離れます。
皆さんしばらくは、展望室から流れゆく景色を撮影。
今でも国鉄型車両が数多く活躍している岡山地区。すれ違う電車に自然と注目が集まります。
お見送りに手を振りかえしながら「岡山駅」を発車。
岡山県に別れを告げた「サロンカーみずしま」号。復路も快調に走ります。
「上郡駅」に到着。ここでしばらく小休止。扉が開放されて最後の写真撮影タイム。
機関車と客車の編成美に惚れ惚れ。
記念撮影をする方も。
下り普通列車と並んだ「サロンカーなにわ」。
現代でも活躍する国鉄型車両が並んだ貴重な瞬間です。
上郡を発車した「サロンカーみずしま」号。次の停車駅は終点大阪。
サンセットタイム、ヘッドマークデザインが現実に
のんびりとした時間が流れる車内。
陽が傾き、サンセットタイムが近づきます。
我が地元、明石を通過。
茜色に染まる明石海峡大橋と淡路島。
水島灘の夕暮れの景色をモチーフにした「サロンカーみずしま」号のヘッドマーク。場所は違えど、あのヘッドマークの車窓が展望室から眺められるなんて。感激です。
淀川を渡り「急行 サロンカーみずしま」号は旅の終着地、水の都大阪へ。
サロンカーなにわで聞く、ハイケンスのセレナーデ。ええわぁ。 pic.twitter.com/7ZGpg89TkA
— マサテツ (@masatetsudo) 2020年12月12日
サロンカーなにわ。子どもの頃図鑑で見た、憧れのジョイフルトレイン。旅は終われど思い出は永遠に。耳に残ったハイケンスのセレナーデを土産に帰路へつきます。