青の東シナ海から夕陽の不知火海へ。移りゆく景色を望みながらのディナーコース。肥薩おれんじ鉄道の「おれんじ食堂 3便 サンセット」に乗ってきました!
*2023年4月の情報を基に作成しています
10周年を迎えたおれんじ食堂
旅のスタートは、鹿児島県の「川内駅」から。
「おれんじ食堂」は、出水駅を出発し新八代駅まで走る1便モーニング、新八代駅を出発し川内駅まで走る2便スペシャルランチ、そして今回乗車する3便サンセットの計3本が、金・土・日曜祝日を中心に運行されています。
2013年に運行を開始した「おれんじ食堂」は今年で10周年。車両には10周年を記念するヘッドマークが!「おれんじ食堂」は、食事を提供するレストラン列車の先駆けなのです。
水戸岡氏デザインのおしゃれな車両
「おれんじ食堂」のデザインは、JR九州をはじめ全国の観光列車をデザインしてきた、水戸岡鋭治氏。
ボディはただの紺色ではなく、紫混じりの"ナス紺"と呼ばれる色。沿線の景色に合う色として水戸岡氏が選んだのだそう。
では、車内へ。
おしゃれで落ち着いた空間。素敵です!こちらは1号車のダイニングカー。
2号車はリビングカーで、車内のデザインが異なります。
座席やテーブルに使われる材木は、沿線の"ミヅメザクラ"と呼ばれる木だそう。
今回は、大きな窓が目の前にあるカウンター席で旅を楽しみます!
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薩摩高城駅の展望台
15時35分。列車は「川内駅」を発車。川内川を渡っていると、河川敷にたくさんの鯉のぼりが!今の時期しか見られない貴重な景色です。
「おれんじ食堂」はソフトドリンクが飲み放題。オレンジジュースは「大将季(だいまさき)」というみかんの100%ストレートジュース。大将季は1997年に発見された品種。酸味は控えめ、とっても甘くて濃厚です!
コーヒーや紅茶は「おれんじ食堂」のロゴが入ったオリジナルカップで提供されます。
「おれんじ食堂」オリジナルのデコポンマドレーヌ。ひと口サイズでデコポンの爽やかな風味がとっても美味!コーヒーや紅茶のお供にぴったりでした。
列車は「薩摩高城駅」に到着。ここでは約20分停車します。
停車中アテンダントさんの案内で向かうのは、肥薩おれんじ鉄道の敷地内にある展望台。元は深い藪だったこの場所を、おれんじ鉄道の職員さん達が1年以上かけて開拓したのだそう。
枕木を再利用した階段を登ると…
おぉー!素晴らしい景色!東シナ海が一望できます!
展望台の下には砂浜が広がりますが、この辺りは遊泳禁止なのだそう。
海岸にある鐘は「放ちの鐘」と言って、この地に残る菅原道真公の下げ潮伝説にちなんでできた鐘。念じてこの鐘をたたくと、今までの悪い事から解き放たれるとされています。
対岸に見える岩山には、岩のくぼみがハートのかたちに見える岩があるのです。
ハート型の穴から覗くと、ハート岩が見つかりやすいです。もし見つけられたら恋愛成就できるかも!
車窓から東シナ海が一望
「薩摩高城駅」を発車すると、列車は車窓から東シナ海が望める区間へ。
空はあいにくの曇り空。なんとか夕陽が見られるように願います。
列車は「阿久根駅」に到着。
駅舎は「おれんじ食堂」と同じ水戸岡鋭治氏のデザインでリニューアルされました。木がふんだんに使われていて、カフェやおみやげ店、待合室などがあります。
「阿久根駅」では、おみやげがいただけるとのこと。引換券を手にホームへ降ります。
頂いたのは、阿久根にある「カフェソアプロット」のクッキーとマフィン。素敵なおみやげができました!
阿久根の特産品を使った軽食
「阿久根駅」を発車すると、いよいよお食事がスタート。
まずは軽食。先ほど停車した阿久根の特産品を使った3品です。
東シナ海に面した阿久根は海の幸が豊富。阿久根のさつま揚げは「つけあげ」と呼ばれ、家庭の味として親しまれてきたそう。
阿久根で獲れるムラサキウニは、東シナ海の豊かな磯で実る海藻を食べて育ち、3月から5月にかけてが旬だそう。「うに丼祭り」なるイベントが開催されるほど、阿久根のウニは有名です。「おれんじ食堂」の車内で頂く生ウニは、甘くて濃厚で深い味わい。絶品です!
阿久根の海で獲れた、チャンバラ貝。砂浜にいるのが特徴で、暖かくなると砂浜から出てくるのだそう。つるんとした食感で、噛むとシコシコ。
3品ともお酒のつまみにぴったり。ということで、早速ビールをいただきました!
頂いたのは「不知火海浪漫麦酒 ケセラセラ あしきた黒糖浪漫」。不知火海を望む芦北町で作られた黒糖を贅沢に使用。黒ビールのコクと黒糖の甘さが広がる濃厚なビール。美味しい!
列車は「出水駅」に到着。
出水は、日本最大のツルの飛来地として有名です。
駅のホームにもツルのオブジェがありました。
駅前の広場では、イペーの木がきれいな黄色い花を咲かせていました!
イペーは南米ブラジル原産の木。ちなみに「イペー」はツビ族の言葉で「樹皮が厚い」という意味があるそう。
沿線の食材を使った地産地消の料理
列車は「出水駅」を発車。
次のお料理に向けてセッティングされたテーブル。3便サンセットのお料理は、水俣にある「あらせ会館」の提供です。
運ばれてきたのは「肥後・薩摩の宝箱」。その名の通り、おれんじ鉄道沿線の肥後・薩摩の食材を使った地産地消のお料理です。
水俣市にあるモンヴェール農山で育ったモンヴェールポークとさつま芋を使ったコロッケ。ホワイトソースとともにいただきます。「薩摩の甘エビ」とも呼ばれる、阿久根で獲れたタカエビ。こちらはバジルでソテーして唐揚げに。
不知火海で獲れた太刀魚の南蛮漬け。熊本名物のからし蓮根。ツーンとくる辛さがクセになる!
柔らかく煮込まれた、水俣産のタコ。水俣で獲れた野菜は、ちりめんとともに胡麻和えに。
出水市産の南国元気鶏は、フランス料理のガランティーヌに。不知火海に浮かぶ長島で獲れた月日貝は鍬焼きで。
鹿児島県と熊本県の県境にかかる小さな橋を見ながら、列車は熊本県へ。薩摩街道にかけられたこの橋は、薩摩藩と肥後藩の国境であることから「境橋」と言うのだそう。
列車は「水俣駅」に到着。
反対ホームからは、くまモンのラッピング車両が発車して行きました。
「水俣駅」も水戸岡鋭治氏のデザインでリニューアルされています。待合室には、地元の伝統的な巨大竹籠「鰯(いわし)かご」を使った子供向けの遊び場が設置されていました。
「水俣駅」を発車すると、続いて肉料理が登場。
熊本県産の黒毛和牛のローストビーフ。ソースは水俣特産のサラダ玉ねぎのソースを使用しています。しっとり柔らかくて旨み濃厚なローストビーフに、さっぱり爽やかな玉ねぎソースがよく合う!
不知火海産の真鯛を使った鯛飯と赤出汁の味噌汁。ほぐした鯛の身がたっぷり入っていました。列車の中でも温かいお料理がいただけるのは嬉しいですね。
最後はデザート。鹿児島県産のさつまいものムース。さつまいもをそのまま食べているかのような濃厚さで、上品な甘さが広がります。
サンセットタイムの不知火海
車窓は東シナ海から不知火海へと変わりました。時刻はサンセットタイム。
本来ならこの方角に夕陽が沈む様子が一望できるのですが、残念ながらこの日は雲に隠れてしまいました。
夕陽は見られませんでしたが、夕焼けに染まる空と赤く照らされた海の景色は美しく、心癒されるひとときを過ごしました。
川内から約3時間半。列車は終点「新八代駅」に到着。
料理や景色ももちろん良かったですが、何よりアテンダントさんのホスピタリティが素晴らしくて、とても楽しい時間が過ごせました。皆さんもぜひ「おれんじ食堂」に乗車してみては!
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