愛媛県の瀬戸内沿いを走る、通称「愛ある伊予灘線」の観光列車「伊予灘ものがたり」。4便ある中から今回は「双海編」に乗車、豪華な和洋折衷料理を頂きながら伊予灘の絶景を楽しみました。
短絡ルート開通によりローカル化した海線
「双海編」のスタートは「伊予大洲駅」から。
伊予大洲の発車は10時56分。
ホームには松山からの「大洲編」が10時27分に到着し、折り返し「双海編」に向けて準備が進んでいました。
予讃線は伊予大洲〜向井原間で二手に分かれます。山線は1986年に開業した内子経由の短絡ルートで、特急列車はすべてこちらを走ります。
対して伊予長浜経由の海線は普通列車しか走らないローカル線。現在は「愛ある伊予灘線」の通称が名付けられ、伊予灘の海の絶景を売りにした観光ルートでもあります。
和と洋が融合した、おしゃれでモダンな車内の紹介はこちらで。
お重に詰まった豪華和洋折衷料理
伊予大洲を発車ししばらくすると「五郎駅」を通過。五郎駅ではたぬき駅長さんがお見送り。本物のたぬきが出ることもあるのだとか。
肱川沿いを走る「伊予灘ものがたり」。乗車したのは、だんだんと暖かくなってきた初春の頃。対岸には早くも桜が咲いています。
さて、車内ではアテンダントさんによりお食事の準備が進んでいます。
「双海編」の食事は、内子にある「レストランからり」の和洋折衷料理。
食事は4日前までにJR四国・JR九州・JR西日本・JR東日本のみどりの窓口や旅行会社等で「食事予約券」を購入する必要があります。
食事が運ばれてくる前に、まずは一杯。愛媛県にある「梅錦麦酒」のピルスナー。伊予灘ものがたりが描かれた特製ラベル。
グラスには伊予灘ものがたりのロゴマークが。ホップの香りがいっぱいに溢れ、穏やかな苦味が口の中を潤します。
コースターは旅の記念に。
さぁお待ちかね。内子杉で作られた特製お重が運ばれてきました。では、オープン。
おぉー!これは素敵すぎる!!
料理をすべて紹介すると
一、鰆のつけ焼 はじかみ
一、鰈の唐揚げ パプリカ 青唐
一、ローストビーフ もろみ味噌ソース
一、鳥貝葱ぬた
一、菱玉子 桜海老と海苔の寄せ流し
一、桜鱒白酒焼 こごみかつお梅まぶし
一、筍大和煮 粉鰹 土筆胡麻和え
一、蛤木ノ芽焼 烏賊明太子
一、煮穴子の出汁巻玉子
一、飯蛸の酢味噌かけ 桜麩
一、山吹菜の花
一、内子産天子の南蛮漬 海老旨煮
一、飯物 春ちらし寿司
一、汁物 鯛潮汁 独活 若布 木の芽
一、食後のコーヒー
柔らかいローストビーフには、もろみ味噌のコクが意外にもマッチ。
瀬戸内の海の幸もたくさん。醤油の香ばしい香りが広がる、鰆の焼き物。
鰈(カレイ)は唐揚げに。
春をイメージした、華やかなちらし寿司。
豪華な品数、そして手の込んだ料理ばかり。列車の中で頂いているとは、とても思えません。
そして目の前には伊予灘の穏やかな海。絶品の料理と絶景。しあわせです!
食後のコーヒーのお供に、追加でオーダーした「ショコらぶかん」。こちらはバレンタインに合わせた期間限定スイーツ。
ショコラムースとホワイトチョコムースが層に。食べ進めていくと、実は中から甘酸っぱいベリーソースが溢れてきて、甘い中にもいいアクセント。
喜多灘駅でお花見停車
「伊予灘ものがたり」は「喜多灘駅」に到着。普段は通過する駅ですが、桜がきれいという事でこの日は特別に停車。ホームで桜を愛でることに。
満開とはいかずとも、木によっては沢山の花をつけていました。
「伊予灘ものがたり」の素敵な演出に感激。
伊予灘が目の前に広がる下灘駅
串駅の手前で渡る鉄橋。波打ち際が真下まで迫り、まるで海の上を走っているかのよう。このように伊予灘の景観だけでなく、たくさんの見どころがある「愛ある伊予灘線」。
そして「愛ある伊予灘線」で一番の人気スポットに到着。「下灘駅」は駅の目の前に海が広がり、その美しい景観は青春18きっぷのポスターやドラマのロケ地にもなったほど。
伊予灘ものがたりの乗客だけでなく、その絶景を求めて車で訪れた人もたくさん。
穏やかな伊予灘と、伊予灘ものがたり。素晴らしい光景。
地域の人たちに支えられる伊予灘ものがたり
「伊予灘ものがたり」は「伊予上灘駅」で小休止。
五郎駅はたぬき駅長でしたが、今度は犬猫駅長がお出迎え。
賑わうホームを尻目に、交換したローカル列車が静かにホームを離れていきました。
さて、駅舎の中ではかわいい犬猫たちと撮影タイム。
駅舎には観光列車の停車時間が案内された手作りの貼り紙が。伊予灘ものがたりは、地域のみなさんによって支えられているのです。
約10分の停車時間のうちに、車両からは食器が荷物が駅前に止められたトラックへ、手際よく運ばれていきます。やや長めに取られた停車時間はここに秘密があるようです。
車内で過ごす人も多く、ホームはゆったりとした時間が流れています。
まもなく発車時間。
雄大な伊予灘の眺めとも、そろそろお別れ。
線路は高架へと上がり、内子を経由してきた山線と合流。
のどかな田園風景。まもなく終点の「松山駅」に到着です。
終点「松山駅」に到着。「伊予灘ものがたり」は折返し準備ののち「八幡浜編」として再び愛ある伊予灘線へと戻っていきます。
先日「伊予灘ものがたり」が2021年12月をもって引退し、2022年春にキハ185系による二代目「伊予灘ものがたり」が登場することが発表されました。旅の内容についても大きくリニューアルされるよう。キロ47形「伊予灘ものがたり」のラストランイヤーに、皆さんも訪れてみてはいかがでしょうか!
関連リンク
関連記事
関連書籍