道南いさりび鉄道「茂辺地駅」から徒歩5分の所にある「北斗星スクエア」。ここでは寝台特急「北斗星」に使われていた客車が保存されていて、車内で宿泊する事ができるのです!
*2022年6月の情報を基に作成しています
- 北斗星の眠る里
- 保存された2両の北斗星
- 現役当時そのままの車内
- ひとり旅には十分な個室寝台「ソロ」
- 寝台列車といえばの開放B寝台
- 現役時代の機器がそのまま残る車掌室
- 今でも使えるシャワー室
- 寝台列車の旅が再現できる宿
- 関連リンク
北斗星の眠る里
「道南いさりび鉄道」に乗って「函館駅」「木古内駅」からそれぞれ約30分。
降り立ったのは「茂辺地駅」。本州と北海道を結ぶ貨物の大動脈を担ういさ鉄。「茂辺地駅」も例外なく、行き違い設備と有効長の長いホームを備えた立派な設備。
駅は無人駅。集落の中にぽつんと、かわいらしい駅舎が建ちます。
駅舎を出て正面の道をまっすぐ進むと、やがて『茂辺地北斗星広場』と書かれた道案内を発見。
看板の案内に沿って進みます。
駅から約5分で、北斗星の眠る場所「茂辺地北斗星広場」に到着。
保存された2両の北斗星
いた!北斗星!
学校跡地の広い広場の中に、レールと、その上に元「北斗星」の客車が2両。
「北斗星」保存のためのクラウドファンディングで資金を集め、ここ茂辺地北斗星広場にやってきたのは2016年。土休日には車内の公開もされていました。しかし塩害などで傷みが進み、近年は見るも絶えない姿だったそう。そんな中、北斗星を宿泊施設として改装し、その収益を車両の補修費用に充てる事となり、2022年4月から宿泊施設として営業を開始したのです。再出発にあたり塗装工事も行われ、とってもきれいな姿になっていました!
奥と手前の車両で異なる窓配置。これもブルートレインの特徴です。
正面から見た「北斗星」。
「北斗七星」をデザインしたヘッドマークが輝かしく表示されています。
JR北海道所有の車両に掲げられていたエンブレム。特別な列車を思わせてくれますね!
現役当時そのままの車内
外観を撮影し、いよいよ車内へ。まずはフロントでチェックインを済ませます。
17時までは人が居るとの事でしたが、この日は無人でした。宿泊カードを記入しロッカーから鍵を取り出せばチェックインは完了。鍵は、客車の出入口と、ロッカー代わりとなる個室の2種類が付いています。
車内に入ると早速見えてきたのは、ロビー。
客車の半分がロビーになった、いわゆる「半室ロビー」。
ふかふかのソファー。
窓を向いたスツール。きっと当時は、旅人たちが語らい合った場所だったんでしょうね。
ロビーの一角には自動販売機が当時のまま。残念ながら使えません。
モニターの隣には「北斗星」に関するDVDが置かれていました。「北斗星」を紹介する映像や、車内放送を収録したもの。本当に「北斗星」に乗っているような雰囲気が楽しめますね。
ひとり旅には十分な個室寝台「ソロ」
ロビーの向こうには、個室が並んだ廊下。
ここは「ソロ」と呼ばれたB寝台個室。カプセルホテルのような空間ですが、ひとり旅には十分な広さ。立つことができる空間があるので圧迫感はありません。
上段と下段が交互になっていて、上段がある部分は出っ張っています。頭を打たないように注意。
「北斗星スクエア」では、鍵を閉めることができる「ソロ」はロッカー代わりになっています。実際に寝るのは、隣の開放B寝台の方です。
寝台列車といえばの開放B寝台
再び奥へと進みます。トイレと洗面台は使うことができません。使用できる洗面台は、出入口のすぐ前にある1ヶ所。トイレは外にあるトイレを利用します。
当時のままのステッカー。
扉の向こうに現れたのは、開放B寝台。
「北斗星」として走っていた頃は「Bコンパートメント」と名付けられ、4人で利用する場合は鍵をかけることもできたそう。
おぉー!これぞブルートレイン!
想像通りベットの幅は狭く、寝返りを打てば床へダイブ。
頭の上は二段ベットのような圧迫感。三段寝台の頃はさぞかし狭かったのだろうに。
窓は大きくて、きれいな車窓が見えたんだろうなー。
テーブルの下には灰皿。もちろん今は使えません。コンセントはちゃんとあるのでご安心を。
ベットには、布団とシーツとアメニティが置かれていました。中にはタオル、バスタオル、歯ブラシ、使い捨てスリッパ。寝巻き以外は揃っています。
こちらは上段。
梯子を伝って上へ上がってみます。
通路側に荷物が置けるスペースを発見。実際に上に上がってみないと気づかなかった。
上段から見た景色。寝台特急に乗ったことがない身としては、とっても憧れていた景色なのです!すごい!
現役時代の機器がそのまま残る車掌室
突き当たりまで進むと、見えてきたのは車掌室。これは車掌さんが取り扱っていた、ドアを開け閉めするスイッチ。
側面の行き先を変える装置。
「北斗星」だけでなく「はまなす」や「まりも」からには「おおぞら」まで入っててびっくり。
今でも使えるシャワー室
車内探索もひと息ついて、シャワーでも浴びようかな。現役時代はロビーの隣にシャワー室が2ヶ所ありました。そのうちの一室は、なんと今でも使えるのです!
当時は食堂車でシャワーカードを購入。お湯は6分間出たのだそう。
緑のボタンを押すとお湯が出て、赤いボタンを押すと停止します。設備はすべて現役当時のまま。これは貴重な体験です。
夜が更け外は真っ暗。車内の雰囲気は寝台列車さながら。そろそろ休むとしましょう。
寝台列車の旅が再現できる宿
翌朝。デッキの外に出てみました。
さわやかな風がそよぐ朝。聞こえてくるのは小鳥のさえずり。中でもウグイスが元気に鳴いていました。
ここで一晩明かしたんだと思うと、感慨深い。
目覚ましに、付近をお散歩。「北斗星」の裏手には遊歩道が伸びています。
遊歩道の隣を流れる川。「茂辺地川」と言って、秋には鮭の遡上が見られるのだそう。
駅前の自販機でコーヒーを買ってきて、通路に備わる収納式の座席を出して一服。どれだけの人がここに座って車窓を眺めたのだろう。
2022年4月から宿泊営業を開始したばかりの「北斗星スクエア」。注意点を挙げると…
・周囲に飲食店、コンビニがない。自動販売機は駅に1台。ちなみに私が行った時は100円玉が切れてました(笑)Coke ONだったのが幸いでしたが。
・ゲストハウスなので寝巻きはありませんが、タオル・歯ブラシ等のアメニティはありました。
・シャワー室にはシャンプー・リンス・ボディーソープが設置してあります。
・開放式B寝台の個室は1ヶ所で集中管理。泊まった日は快適でしたが、真夏や真冬はなんらかの対策が必要かも。
・ロビーには電気ケトル、電子レンジがあります。
・ロビーには「北斗星」に関するDVDや資料があります。暇つぶしにぜひ。
・個室B寝台はあくまでロッカーなので、寝ることはできません。
・トイレは外。ウォシュレットも付いていてきれいでした。
・チェックインは15~17時とありますが、事前決済してあれば15時以降なら何時でも可能。ちなみに15時頃に着きましたが、管理人さんは不在でした。
皆さんも寝台列車の旅が再現できる宿「北斗星スクエア」に宿泊してみては!
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